核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

小林正弥『非戦の哲学』(ちくま新書 二〇〇三)より マルクス主義批判

 マルクス主義の失敗以降、「大きな物語」を語ること自体を危険視するようになった、リオタールらのポスト・モダン思想に反論して。

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 ……マルクス主義が失敗したのはその基本的理論の多くが誤っていたからなのであって、「大きな物語」一般が誤りだからではない。
 史的唯物論が誤りであり、階級闘争史観もまちがいであり、労働価値説も誤謬であり、したがって搾取論も誤りであり、またプロレタリアート独裁という革命論も、民主集中制を始めとする組織論も運動論も、ことごとく誤りである。このように謬見に満ちた理論にもとづいた社会運動が成功するわけは、そもそもないのである。
 (二二五~二二六ページ)
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 ……以上の理由から小林氏は、新時代の平和主義はマルクス主義と決別すべきと主張しています(一九八ページ)。私もそれに同意します。
 いずれ私が「昭和の平和主義文学」といった論を書くとしたら、避けては通れない問題です。