核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『戦争に対する戦争』のことなど

 同書を「日本の古本屋」で検索したところ、原典はさすがに高価ですが、復刻版なら700円程度で買えると判明しました。『日本平和論大系』の8巻にもまるごと収録されていましたが、そちらは古書にはなし。まあ、どのみち芥川の「将軍」論を終えてからになるので、焦らずに探します。
 ただ、問題は中身でして。収録作の一つ、黒島伝治の『橇』を青空文庫で読んでみたのですが、上官に虐待された兵士たちが最後に上官に銃口を向けるという筋で。プロレタリア文学の軍隊版ではあっても、はたして反戦・反軍小説と呼べるのか疑問が残りました。「敵」の対象が変わっただけじゃないかと、シュミットに嘲笑されそうです。
 『戦争に対する戦争』という題名自体がそうなのですが、どうもマルクス主義的な、革命の一手段としてしか反戦を考えていないのではないかという印象を受けます(小川未明の「野薔薇」は例外です)。
 何度も書いていることですが、平和主義がその名に値するものになるためには、マルクス主義と完全に決別すべきだというのが私の意見です。……『戦争に対する戦争』論は書きづらいものになりそうです。
 なおCiNiiで検索したところ、『戦争に対する戦争』の論文は0件。上記のような負の面を考慮しても、無視していい本だとは思えないのですが……。