CINIIで「クトゥルフ」と検索すると(するなよ)読めるラヴクラフト研究論文。
ラヴクラフトの恐怖小説の背後には人種混交や同性愛への嫌悪・差別・優生学的思想が隠されているという論旨です。
まあ食屍鬼や深きものなんてのは、人間に似て人間でないもの(非白人?)への恐怖を具現化したものでしょうし。ニャルラトホテプの化身はまんま「黒い人」だし。ラヴクラフトがヒトラーを尊敬していたってのもありそうな話です(要検証)。小林秀雄のヒトラー礼賛を批判する私が、ラヴクラフトを愛読するのは筋が通らない、と思われる方もいるかも知れません。
ただ、私がラヴクラフトを弁護する材料として挙げたいのは、西山論でも言及されている「アウトサイダー」です。(以下ネタバレ)
怪物は自分自身の鏡像だったというあの話。永遠の仲間はずれの悲哀を描き、クトゥルフ神話からさえ仲間はずれにされているあの話からは、外なる怪物への差別意識は感じられません。感じられるのは醜い(つーほどか。顔長いけど)自身への嫌悪です。
それはナチズムや優生学にはないものだと思うのです。……一応、ラヴさんのヒトラー観はいずれ調べてみます。