核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

社会主義幻想との決別を

 腰のことばかり書いても仕方がないので、「どのように戦争を止めるか」論の構想の一部を。むしろ、「なぜ敗戦前に戦争を止められなかったか」について。

 マルクス主義プロレタリア文学系の反戦文学論が、「自分たちの側の戦争はよい戦争」論に陥り、結果として反戦どころか戦争賛美になってしまったことは、当ブログでも『戦争に対する戦争』等を例に論じてきました。

 非マルクス主義者である矢野龍渓・木下尚江・武者小路実篤はそこまでひどくはないのですが、それでも「社会主義の時代になれば戦争はなくなる」という楽観に陥っていたことは確かです。2020年の今日からすれば、そうした社会主義幻想と、平和主義はきっぱり縁を切るべきなのです。

 だからといって与謝野晶子のような、政治に関わること一切を拒絶した「私」の側からだけの反戦論では広がりを持てません。マルクス主義社会主義とはまったく違った政治上の理想が必要です。

 敗戦前の平和主義者たちは、ついにそうした理想を見出せませんでした。

 今日でも事情はさして変わらず、「マルクスを読み直す」式の本をいまだに見かける有様です。マルクスと縁を切らない限り平和は遠い、とつくづく思います。