ラクラウ+ムフの『民主主義の革命』に即して、「マルクス主義の危機」にいわゆる修正主義者ベルンシュタインがどう対応したかの話を続けます。
カウツキーら「正統派」マルクス主義者は、現実とマルクス理論のずれを過渡的・一時的なものにすぎないと言い張っていたわけですが、ベルンシュタインは違いました。
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ベルンシュタインは正統派のいかなる代表者よりも明確に、独占時期に突入した資本主義における変化を理解していた。(略)
経済の発展が中間階級と農民をプロレタリア化し、社会の分極化を推し進めている、というのは事実ではなかった。さらにまた、深刻な経済的危機の結果として革命が勃発し、そこから社会主義への移行が帰結することが期待される、というのも事実ではなかった。
『民主主義の革命』九一~九二ページ
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ベルンシュタイン「そう、マルクスの大予言は事実ではなかったんだよ!」
カウツキー&ルクセンブルク「な、なんだってー!!!」
……非マルクス主義者にとっては、「うん。知ってた」で済むことなんですけど。
ではベルンシュタインがマルクス主義をやめたかというとそうでもなく、マルクスの科学的性質を否定するには至らなかったために、ルクセンブルクらから「修正主義」の汚名を浴びせられています。もうちょっと再評価されてもいいのではないでしょうか。
次回、「危機への第三の応答」の主人公は、『暴力論』のソレル。ベンヤミンの『暴力批判論』にも影響を与えた人物です。『民主主義の革命』第一部もあと少し。