さかのぼりすぎな気もしますが、原点を押さえておこうと思いまして。
堺利彦訳も以前に読みましたが、今回は『世界思想教養全集11 マルクスの政治思想』(河出書房新社 一九六二)から。
「すべてこれまでの社会の歴史は、階級闘争の歴史である」(三六ページ)
「全社会は、敵対する二大陣営に、直接あい対立する二大階級にますますはっきりと分れていく。ブルジョアジーとプロレタリアートにである」(三六ページ)
「共産主義者は、ドイツに、おおいに注目している。なぜなら、ドイツはブルジョア革命の前夜にたっているからであり、またドイツは十七世紀のイギリスや十八世紀のフランスよりも、ヨーロッパ文明全般のよりすすんだ条件のもとで、またはるかに発展したプロレタリアートによって、この変革をおこなうものであるからである。
したがってまた、ドイツのブルジョア革命は、プロレタリア革命の直接の序曲になるとしか考えられないからである」(六五~六六ページ)
……なんで今さらこんなものを引用したかといいますと、これらの予言は何ひとつ的中しなかったこと、ポスト・マルクス主義を標榜するラクラウとムフにさえ否定されていること、を言いたかったわけで。
『共産党宣言』には、もはや歴史の遺物、はずれた予言書としての価値しかありません。