核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ポール・ド・マンのナチス協力(?)

 ド・マン(ザ・マンじゃないですよw)といえば、脱構築派の大物として知られた人ですが。

 そのド・マンが、1941年にナチスに好意的な文章を書いたとか書いてないとかいう論争がありまして。ネット上で土田知則氏の博士論文『ポール・ド・マンの戦争』の概要と審査結果があったので読んでみました。

 問題のド・マンの文章の、「卑俗な反ユダヤ主義」で始まる一文は、反ユダヤ主義に協力的ともそうでもないともとれる両義的なものなんだそうです。審査員の皆様も同意したらしく、全員一致で慶応義塾大学の学位を授与されています。

 ……しかし、そういうのがド・マンの脱構築だとしたら、つまらない話です。デリダがよく使うパルマコン(パルコマンじゃないですよ)という言葉は毒と薬の両義語なんだそうですが、私に言わせれば「毒にも薬にもならない」のが脱構築です。ナチスの人が読めば反ユダヤ主義に見え、戦後の人が読めば反ユダヤ主義批判に読める。そんな玉虫色の文章に何の価値がありますか。