核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ノヴェルターズオリジナル?

 小説とか文学の機能の一つは、「自分が特別な存在だと感じさせてくれる」点にあるのではないかと、ふと思いつきました。

 ヴェルターズオリジナルというお菓子のCMではありませんが、「自分が特別な存在だと感じる」感覚というのは、実に甘いものでして。

 なにも名探偵やヒーローを主人公にした娯楽小説に限りません。さえない小説家を主人公にした私小説だって、作家志望の読者にとっては、「作家という特別な存在になった自分」を追体験させてくれるツールなのかもしれないのです。

 もちろん、実人生でわれこそ特別な存在といえる人間になれれば、それにこしたことはないのですが、小説で特別な存在になった気分を味わうのも、悪いことだとは思いません。

 私が悪いことだと思うのは、他人を傷つけおとしめることで、自分は特別な存在になったと勘違いする欲動です。戦争賛美・差別・いじめといった問題の発生源の一つはそこだと思います。小説がそうした問題への緩和策にならないものか、そうした方向性を考える文学理論はないものでしょうか。