核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

野田康文「決定的瞬間の記憶―芥川龍之介『藪の中』の時空間」(『新潮』2020年2月)

 思えば静岡大学の確か二年生の頃、「藪の中」が演習課題として出されまして、我ながら幼稚な犯人探し論を発表したものです。野田論はもちろんそれと異なり、テクストを緻密に読み取り、新たな「謎解き」を提示する論です。

 野田氏もいうように「藪の中」は推理小説ではないので、結論だけを見れば「拍子抜けするくらい実に平凡な真相」(二一六)とも書かれていますが、私には納得のいく内容でした。