核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

劇画『野望の王国』より

 私のかつての愛読書だったのですが手放してしまいました。巻数は完全版五巻のはず、うろおぼえで引用します。大意は合ってると思います。

 川崎市を支配する暴力団橘組の組長、橘征二郎と、その宿敵で川崎警察署長の柿崎。

 その二人が生テレビ番組で対決し、柿崎は征二郎の旧悪を暴きます。

 観覧者はその暴力性を騒ぎ立てます。それを横で見ていた主人公二人(橘家乗っ取りを画策する末弟征五郎と、その相棒片岡)は冷笑します。

 「ふん、愚か者どもが。暴力暴力と騒ぎおって」

 「一見平和で無風に見える社会も警察や自衛隊という暴力に守られているというのに」

 ここで二人のアップと、背景に陸海空自衛隊の映像。妙に笑えます。

 ただ、二人の言ってることにも一理あって。この劇画では橘兄弟よりも柿崎署長のほうがよっっぽどワルに描かれています。いちがいに劇画原作者、雁屋哲氏の趣味と片づけるわけにはいきません。

 暴力を止めるための暴力によって、平和が保たれているという現実。しかしその平和は、その「止めるための暴力」である警察や自衛隊が暴走したらどうなるのかという危険を内包しています(『野望の王国』では柿崎がまさに暴走するのです)。

 ゆえに私は征五郎らに愚か者呼ばわりされようとも、『非暴力の共和国』を模索せずにはいられないわけです。劇画原作をやる能力はないので、論文の形で。