核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

戦後エンターテイメントと核エネルギー

 このテーマでは多くの方が書いていますが、自分なりのまとめを。エポックメイキングと思われる作品に絞ったので、ガンダムがないドラえもんがないといった批判は甘んじて受けます。

 まず、1950年代。『鉄腕アトム』のような、核エネルギーを輝かしい科学の子として描くタイプ。そして『ゴジラ』のような、核エネルギーを巨大怪獣を産み出す不気味なものとして描くタイプ。その二系統がまず挙げられます。

 続いて、星新一らの一連の核戦争ものSF。21世紀では全面核戦争の脅威などあまり実感できないかも知れませんが、1960~70年代には現実的な恐怖だったのです。

 1980年代の『風の谷のナウシカ』が画期的だったのは、大破局後とおぼしき時代で、なんとか汚染された自然や巨大怪獣と共存して生きていく人類という、今までにないヴィジョンを提示し、なおかつエンターテイメントとして成功させた点にあると思います。この方向で『ナウシカ』を超える作品は、ジブリ作品も含めてないようです。

 話は飛びますが、その前日談というべき『巨神兵東京に現わる 劇場版』という短編映画が、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(二〇一二)の本編前に上映されてまして。巨神兵というのは核で動くものか知りませんが、終末の映像を見せる手法の極限を見せられました。『Q』よりよっぽど印象に残っています。ただメッセージ性としては、『ナウシカ』より以前の『ゴジラ』系に逆行した感はあります。

 ここらでまとめ。核エネルギーの破局を見せるタイプの娯楽作品は、そろそろ行き着いたと思うのです。次の段階として、核エネルギーをいかに廃絶し、持続可能なエネルギーの時代へ移行するか、それをエンターテイメント化した作品が望まれます(少なくとも、私はそれを期待します)。ナウシカとは違った形で、ナウシカをさらに超えるヴィジョンを。

 それに「核のみならず通常兵器の廃絶」も加えれば、言う事はないのですが……どうっすか?