核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『明治文学全集 12 大井憲太郎 植木枝盛 馬場辰猪 小野梓集』(筑摩書房 一九七三)

 借りてきました小野梓。「救民論」の漢文版も載ってました。上海で書いたそうです。「宇内」(世界)の「一大合衆政府」建設を訴えています。

 それ以上に気になるのは、小野梓が晩年(といっても三十三歳)に書いた未完の政治小説『愛々草紙』。「未来の未来その未来」の、四百余州からなる「太陽国」が舞台。

 皇帝はいるけど名ばかりで、河州の国主が「鎮撫将軍」として代々支配しています……まんま幕末日本じゃないかと言ってはいけません。その南州を舞台に、皇帝の為に奔走する東守節と、その子木王(「梓」の字を分けたもので、小野梓が好んだペンネームでもあります)の冒険譚!になるはずなのですが。

 守節の妻萩野が、夫や子の身の上を心配する場面、「もしや道にて」で中絶されています。

 『八犬伝』の幕末版といった感じの、近代小説とはほど遠い代物ですが、私は興味をひかれました。この本には小野梓の他の論文も収録されているので(漢文カタカナで読みにくいのですが)、もうちょいつきあってみます。