ある男が掟の門にやってきます。強そうな門番がいて通してくれません。
奥にいくほどさらに強い門番が守っていて、最初の門番でさえ三番目のを見ただけですくみあがってしまうほど、という少年ジャンプにありがちなインフレ構造。男には、最初の門番さえどうにもできません。
持ってきた金品を渡したり、泣き落としてみたりするのですがどうにもならず、男はだんだん年老いていきます。ついに死の間際、男が発した最後の問いとは・・・・・・。
岩波文庫『カフカ短編集』で3ページほどの、けっこう有名な短編ですが、結末は一応伏せておきます。長編『審判』の中にも出てくるようです。青空文庫では、「道理の前で」という題で全文が訳されています。
ベンヤミンやデリダといった有名評論家がさまざまな解釈をしていますが、元の作品よりはるかに難解で、腑に落ちませんでした。
ただ、たしか浪人時代にこの話を読んで以来、難関に突き当たるたびに思い出したものです。もしかしたら、私の人生にプラスになっている読書体験かもしれません。