連載時の題名は『報知異聞』。単行本化時に『報知異聞 浮城物語』と改題された作品です。明治政府に不満を抱く青年の一団が、「海王国」と名乗って独立を宣言し、南太平洋に船出する物語です。
これの挿絵も非常にクオリティが高く、特に後半の旗艦となる巡洋艦「浮城」の図面は、素人の手になるものとも思えません(実在の図面を写した可能性もありますが)。
後半はジャワ島の独立戦争に一行が参戦することになるのですが、その一場面に、指導者の作楽が、衣冠束帯姿で象に乗る場面があります。もちろん挿絵にもなってます。
この挿絵もまた、指示を受けて一日で描いたとは思えないほどの出来で。龍渓はあらかじめ何回分が書きためていたか、挿絵画家に要所要所の指示を与えていたのではないでしょうか。