核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

帝国劇場のピーシヤラドンドコ劇

 饗庭篁村の歌舞伎『女浪人』評は、以下のように結ばれていました。

 

   ※

 帝国劇場にもピーシヤラドンドコ劇あれど、それと同日の論にあらず。此劇が名作でも傑作でもなけれど、比べては優ると云ふなり。或は此座にてそれに冠(かぶ)せての劇略たりしやも知れず、いづれ戦争(いくさ)の世の中なりけり

   ※

 

 で、当時できたての帝国劇場の演目を、以下のサイトで調べてみました。

 

 東宝(株)帝国劇場『帝劇の五十年』(1966.09) | 渋沢社史データベース (shibusawa.or.jp)

 

 「振武軍(渋柿園作 右田寅彦脚色)」という演目が、一九一一(明治四四)年六月から上演されており、これが篁村のいう「ピーシヤラドンドコ劇」(つまり幕末戦争もの)と特定できます。

 それにかぶせて『女浪人』を上演したのが、歌舞伎座側の「劇略」(演劇戦略?)だったかまではわかりません。