核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「夢十夜」追想

 だいぶ長いこと漱石からは遠ざかってますし、「従軍行」関係で漱石批判を書いたこともありますが、「夢十夜」は私の卒論のテーマであり、文学愛好の原点です。

 あの頃(静岡大学四年生時代)は研究のなんたるかもわかってなくて。構想発表でも、とりあえず、「第一夜から第十夜を、ばらばらの小品集ではなく、ひとつづきの物語として読む」ぐらいの方針しかまとまりませんでした。

 江戸文学の授業で、「十牛図」というのを習ったので、そのへんからの連想かも知れません。死に魅了されていた「自分」が、夢の世界での様々な体験を経て、「死よりも生を選ぶ」境地に立ち戻る、一種の成長物語。といった論を立てたかったのですが・・・・・・力及びませんでした。読書感想文レベルの代物で、よく卒業させてくれたものです。

 国語教科書なんかでも、比較的テーマのわかりやすい、第一夜(百年待って)・第六夜(運慶と仁王)・第七夜(西へ行く船)あたりを単独で切り出して考えさせるのが主流のようです。まあ、第八夜(床屋の鏡)の夢なんか、今の私でも意味がわかりませんから。