核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

菅原健史「武者小路実篤『ある青年の夢』論」再読

 あらためて読み返して、「甘かった!おめでたかった!」とつくづく思います。

 もちろん武者小路がではなく、私の論文がです。

 国際制度が安全保障のジレンマを克服するとか書いていますが、日独伊三国同盟大東亜共栄圏だって国際制度には違いないわけで。私は三国同盟締結時の朝日新聞を持っていますが、これで世界の平和が近づいた!みたいな論調で、ナチスドイツやイタリアファシスト政権との同盟を祝福しています。おめでたい話です。

 今回書いている本では、第一章ですでに国際機構による平和の問題点を書いてしまったので、その後にくる武者小路の章は当然、それをふまえていなければなりません。

 安全保障のジレンマは、安心共与(相手国を安心させること)という解決案がすでに提示されていますが(日本国憲法九条は役に立っているのです。核武装なんかより)、どうも今の私は、安全保障のジレンマは本質的に克服不可能なのではないかと思っています。「相手国を上回る軍事力を持とう」なんて考えを捨てない限りは。