核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

クレタ人のパラドックス!?

 先日、高橋誠一郎氏の公式ホームページより学んだ、小林秀雄が座談会の内容を書き直し、言ってもいない「利口なやつはたんと反省すればいい」発言を書き足したという証言を引用しました。

 

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 大岡 小林秀雄で思い出したけれども、「近代文学」が小林を呼んでやった座談会のときのあとで物議をかもした台詞があるだろう。自分は黙って事件に処した、利口なやつはたんと後悔すればいい、というやつ。
 埴谷 ああ、それは、小林さんは座談会のときは言ってなくて、あとで書いたものなんだよ。だいたい小林さんは座談会の原稿は全部書き直して、はじめの言葉は一つもないくらいだよ。
 それをみてわれわれも悪くなってね、座談会というのはこういうふうにするもんだときめて、とにかくしゃべっておいて、あとで直すというふうになった。
 大岡 おれは小林秀雄の直弟子だから、おれもむろんモロに直す。

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 台詞の引用が不正確なのも気になりますが(「事変に処した」で「反省すればいい」です)、それ以上に気になるのは、この証言自体が信用に値するかどうかです。

 埴谷雄高大岡昇平は小林の改竄をなんら批判していないどころか、「座談会というのはこういうふうにするもんだ」「おれもむろんモロに直す」と放言しています。

 「座談会は改竄するもんだ」「おれもモロに改竄する」と言う者たちの座談会内容は信用できるのか。「クレタ人は嘘つきだ」と言うクレタ人みたいな話ですが。

 要は、私は埴谷・大岡の人間性をまったく信頼できないのです。自民党統一教会と同程度にしか。

 自分なりにもう少し深く調査してみたいものです。とりあえず湯川秀樹との対談「人間の進歩について」では、「小林さんは座談会の原稿は全部書き直して、はじめの言葉は一つもないくらい」だと証明できそうです。