なんか占領軍のえらい人が、日本国憲法草案を日本側につきつけた時、原子力の日なたぼっこをしていたとか言った挿話。前から気になっていたのですが、加藤典洋『敗戦後論』一九~二〇頁に出典らしきものがありました。加藤著から孫引き。連合軍総司令部民政局局長コートニー・ホイットニーの発言。一九四六年二月十三日のことだそうです。
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やがて、検討をはじめた日本側閣僚のいる家屋すれすれに爆撃機一機が「家をゆさぶるように」飛びすぎていく。検討時間が過ぎ、一同が部屋に会した時、ホイットニーは、こういったという。
「原子力的な日光(アトミック・サンシャイン)の中でひなたぼっこしていましたよ」
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もちろん太陽は核融合であって、広島・長崎に落とされた核分裂型の原子爆弾とは違うのですが、それはおいといて(いずれ論じるかもしれません)。
原子力の平和利用なんてものが想像もできない当時、この発言は原子爆弾の威力による威嚇ととられてもしかたがないでしょう。加藤は「戦争の放棄」を含む憲法条文が、こうした威嚇による押し付けであり、ねじれをはらんだものだと主張しています。
護憲論者としては反対意見を出したいところですが、またいずれ。