核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

一日天皇

 という企画が、テレビ局を題材とした筒井康隆氏の長編SF第一作『48億の妄想』(一九六五(昭和四〇)年)にあったと記憶しています。国歌「君が代」とは対極にある(「君が代は日が暮れるまで」といったところでしょうか)、天皇を相対化する不敬な思考です。硬直した滑稽な「制度」に対して「毒」を盛ること、それが筒井SFの原点なのでしょう。「色眼鏡の狂詩曲」で首相の上に君臨する「ショーグン」も、編集者に直される前は「テンノー」だったと、公開日記(たしか『腹立半分日記』)にありました。

 そして二〇二二(令和五)年六月二〇日の筒井氏についての、朝日新聞デジタル記事。日本芸術院受賞式にて。

 

   ※

 授賞式の後、両陛下は、恩賜賞も受賞した牛窪さん、筒井さん、雅楽演奏家の大窪永夫さん(73)から説明を受けながら作品などを鑑賞。天皇陛下は、筒井さんに「SFの小説とか書かれるのは、何かきっかけがおありになったんですか」、皇后さまは「こちらの原稿はいつごろお書きになったんですか」などと熱心に尋ねていた。

   ※

 

 筒井氏がどう答えたのか、文学研究者としては、非常に気になるのですが書いてありません。だから私は朝日新聞のホシュっぷり、ウヨクっぷりが嫌いです。

 

 追記 朝目新聞、じゃなくて朝日新聞を批判しましたが、それは「昭和期のようなサヨク新聞に戻れ」という意味では決してありません。ウヨクにもサヨクにも偏らない、公平厳正なメディアであってほしいという意味です。天皇の言葉だけを伝え、筒井氏の言葉を伝えない報道姿勢は、公正とは思えません。