村井弦斎の代表作『食道楽』に、以下のような詩論があります。青空文庫様より引用。
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「新体詩なんぞに
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この「汝」と書いて「な」と読ませる新体詩、北原白秋の『第二邪宗門』に用例が見つかりました。
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あはれ、あはれ、
この
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日付は明治四一(一九〇八)年六月とあるので、一九〇三(明治三六)年の『食道楽』が名指しで北原白秋を批判したわけではありません。新体詩によくある表記なのでしょう。
なおレントゲンがX線を発見したのは一八九五(明治二八)年、キュリー夫妻がラジウムを発見したのは一八九八(明治三一)年。文学論にも先端科学を持ち込まずにはいられないのが弦斎流。映画を「切支丹でうすの魔法」扱いする「邪宗門秘曲」をもし弦斎が読んだら、やっぱり「実に野蛮だネ」とつぶやいたでしょうか。