核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

私的死生観補遺

 死刑執行直前のソクラテスを描いた、プラトンの対話篇『パイドン』で。

 シミアスとケベスという弟子が、魂の不死説を語るソクラテスに、

 「魂とは音楽のようなものであって、楽器(肉体)が壊れれば音楽(魂)も消滅するのではないでしょうか?」

 と問いかける場面があり、ソクラテスに反論されていました。

 私としては、ソクラテスより、シミアスだかケベスの論のほうがしっくりきます。魂とは楽器に対する音楽、ハードウェアに対するソフトウェアのようなものではないかと。

 脳をはじめとする肉体が壊れれば魂も損なわれ、最終的には失われる。痛ましく恐ろしいこととは思いますが、魂の不死説がそれより恐ろしくないかというと、なんとも言えません。