核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

社会思想社、現代教養文庫の思い出

 本来は河合栄治郎(当ブログでも何度か扱った自由主義者)の弟子らが戦後に始めた、堅めの人文学出版社だったそうですが。

 1980年代に『火吹山の魔法使い』を初めとするゲームブックが大ヒットし、ファンタジーゲームに大きく舵を切ります。そして1987年、TRPG『トンネルズ&トロールズ』(T&T)のルールブックを出版。文庫で比較的安価に入手できるTRPGということで、当時の私や友人たちは愛読し、手探りで実ロールプレイもしたものです。

 世界は公式の大陸ではなく(ルールブックに世界地図が載ってなかったのです)、自分らで地図を描いて。専門誌『ウォーロック』や、後発の『カザンの闘技場』などのシナリオ集もむさぼるように読みました。手放して激しく後悔しています。

 その後21世紀に、T&Tは他社から完全版として復活したわけですが、今では入手困難な思い出深いシナリオも多々あります。私の好きな海洋冒険物の「サルクティの魔除け」「魔の海域」に、ランダムで異世界を放浪する『鏡の国のダンジョン』、要塞攻略戦記『オーバーキル城』、意外な真相の『ゲームマンの挑戦』、悪夢のような難易度と挿絵の『嘆きの壁を越えて』。どれも強い印象が残っています。

 T&T以外のゲームブックでも、『奈落の帝王』『冒険者の帰還』は忘れられない二冊です。使命は果たせても、何も失わないままではいられない物語です。

 ライバル社(?)の創元推理文庫ゲームブックにも数々の思い出がありまして、またいずれ語ることにします。