核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

江藤淳「”フォニイ”考」(『文学界』一九七四年六月)

 「フォニイ」とは「リアル」の反対語で、「空っぽでみせかけだけの。インチキの、もっともらしい」という意味だと、江藤はウェブスターの辞書を引用しています。

 そして辻邦夫、加賀乙彦、小川国夫、丸谷才一らの近作を「フォニイ」と江藤は断じています。

 印象批評の極みで、こんな言葉でけなされた作家は気の毒としかいいようがありません。「内に燃えさかる真の火を持つ」かどうかなど、他人がどうやって判断できるというのでしょうか。

 この「”フォニイ”考」は「考」の名に値しません。自分の気に入らないものは悪だという、幼稚な論法があるばかりです。