「フォニイ」とは「リアル」の反対語で、「空っぽでみせかけだけの。インチキの、もっともらしい」という意味だと、江藤はウェブスターの辞書を引用しています。
そして辻邦夫、加賀乙彦、小川国夫、丸谷才一らの近作を「フォニイ」と江藤は断じています。
印象批評の極みで、こんな言葉でけなされた作家は気の毒としかいいようがありません。「内に燃えさかる真の火を持つ」かどうかなど、他人がどうやって判断できるというのでしょうか。
この「”フォニイ”考」は「考」の名に値しません。自分の気に入らないものは悪だという、幼稚な論法があるばかりです。