2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
最近、アニマルライツやヴィーガンのサイトを見ることが多く、考えさせられはしますが、同意するわけにはいきません。慣れ親しんだ食生活を捨てるには、どうも説得力が欠けているのです。 食用植物を育てるにも、害獣・害虫を駆除する必要はあると思うのです…
平和主義に批判的な論者(故・西部邁『戦争論』など)は、絶対平和主義をガンジー主義や無抵抗主義に短絡的に結びつけ、その非現実性を嘲笑して論破した気になっていますが、それは無知による誤謬です。ガンジー主義や無抵抗主義も絶対平和主義の一種ではあ…
松元雅和『平和主義とは何か』における、平和主義の二分類です。 いかなる種類の戦争も認めないのが絶対平和主義で、場合によってはある種の戦争(たとえば自衛戦争)を認めるのが平和優先主義。英語ではそれぞれパシフィズムとパシフィシズム。松元氏は平和…
私のかつての愛読書だったのですが手放してしまいました。巻数は完全版五巻のはず、うろおぼえで引用します。大意は合ってると思います。 川崎市を支配する暴力団橘組の組長、橘征二郎と、その宿敵で川崎警察署長の柿崎。 その二人が生テレビ番組で対決し、…
岡安著をまだ読んでいないため、山田著をもとにした仮説の段階ですが。 日清戦争以前の福地は、非戦・非暴力を訴える新聞社説を公にしていました。 しかし、不平士族や自由党の暴動には厳しい一方、それらを鎮圧する政府側の軍事行動は批判しない、という面…
岡安儀之氏の『「公論」の創生 「国民」の誕生ー福地源一郎と明治ジャーナリズム』も今年出た本です。こちらは福地の政論に重点をおいているようです。 「国民」の誕生などというと、国民国家批判論の方々からは評判がよくないかも知れませんが、私は興味を…
「福地桜痴の才は福沢諭吉を上回るが、意志の力では数段劣る」といった評は以前からよく目にしていたのですが、このたび山田俊治『福地桜痴』を読み、さらに年表を見ると、福地の意志の弱さが実感できます。 未完に終わった小説、着手したけどやりとげられな…
村井弦斎の『小説家』(一八九〇~一八九一)という作品で、作中の小説家が書いた『大福帳』という小説を、『小説家』連載終了後に作中小説家の名義で刊行する、という試みが行われていました。 面白いアイディアだと思ったのですが、福地桜痴はその三年前の…
大隈重信編『開国五十年史』に収録されているとのことですが。 近代デジタルコレクションには同書の上巻と附録しかなく、どちらの目次にも見当たりませんでした。おそらく下巻。また国会図書館で読む予定の本が増えました。
「ガイジン」とか「よそもの」とか「異教徒」という言葉に見られるように、外集団はしばしば単一視され、単純化されがちです。ただの単純化ならまだ害はないのですが、それがエスノセントリズム(自民族中心主義)と結びついた場合、外集団を敵対視、ひどい…
『ドラゴンボール』の二十八巻だったと思いますが、コミックスが見つかりませんでした。セリフが正確でないかも知れません。 ドクター・ゲロが人造人間を造る前にやっつけちゃったら、三年後にわざわざ苦労することはないわ、というブルマの発言に対して。 …
Max Stirner。日本語表記はシュティルナーだったりスティルネルだったりスチルネルだったり。 鴎外の「妄想」にはこうあります。 ※ ハルトマン自身が錯迷の三期を書いたのは、MaxマツクスStirnerスチルネル を読んで考へた上の事であると自白してゐるのを見…
『日本文学』十一月号の書評を読み、気になった本です。 私は国民国家批判論にもフロイトにもあまり強くありませんが、芥川「将軍」をはじめとする、扱われている作品群に興味を感じました。 日露戦争がらみで「不気味なもの」といえば、内田百けん(もんが…
エスノセントリズム(自民族中心主義)というのもW・G・サムナーの造語でした。 内集団(自分の集団)への凝集が外集団(他者の集団)への敵意を招く、というメカニズムについて考え抜いた方ならではと思います。 アメリカの対外戦争に反対していたという…
これは感想文であって、学問的な手続きを経た論文ではないことをお断りしつつ。 森鴎外『舞姫』と、山県有朋の利益線論はおなじ年(一八九〇(明治二三)年)に発表されたのですが、両者の関連を論じた人はいないようです。やってみます。 利益線論というの…
ウィキペディアでサムナーを調べたところ、 後藤昭次訳『社会進化論 アメリカ古典文庫18』研究社出版, 1975年、本間長世解説 「社会学」、「戦争論」 他の論文。他にレスター・フォード、アンドルー・カーネギーの論考も収録 と、「戦争論」が収録された本が…
論証や実証をすっとばして書きます。つっこみ所は多いと思いますが……。 集団が凝集(結束)するためには外敵を必要とする。これは春秋左氏伝からドラゴンボールまであてはまる不変の法則でして。私自身の体験に照らしても、サムナーを読まずとも腑に落ちるも…
コトバンクより引用。 ※ 集団の閉鎖性、排他性という傾向に着目してつくられた一対の概念。アメリカの社会学者W・G・サムナーの用いたことば。内集団は、個人が自らをそれと同一視し、所属感を抱いている集団で、それに対して外集団は、「他者」と感じられる…
中国古代の兵法書『呉子』より。Web漢文大系というサイト https://kanbun.info/shibu02/goshi00_jo.html で拾った文章なので、後日書籍と照らし合わせます。 ※ 昔むかし、承しょう桑そう氏しの君きみは、徳とくを修おさめ、武ぶを廃はいして、以もって其そ…
ちょっと「写真術」から離れて。 以前に紹介した『ユリイカ』2018年2月号のクトゥルー特集で、ラヴクラフトのロマンス小説「可愛いアーメンガード あるいは田舎娘の心」が訳出されていました。 ラヴ♪クラフト作かといいたくなるほど甘い雰囲気。こうい…
一六年前に書いた村井弦斎「写真術」論では、同作品と同時代に普及した「御真影」を結びつけようとしたのですが、うまくいきませんでした。今回の論文では「御真影」関係はごっそりカットして、そっちはこのブログに載せようと思います。 まず基礎知識として…
ファイルを取り出してみたところ、最初のこの作品で論を書いたのは二〇〇四(平成一六)年。思えば長いつきあいです。 写真は絵のように美しくあるべきか、鏡のように真を写すべきかをめぐって、二人の写真家がカラー写真の発明を競争する物語。反戦論とはか…
二七頁にある、ラヴクラフト直筆のクトゥルフ。背中を丸めてすわり、肩を叩きたくなるほどしょんぼりしています。表紙の「え、オレ?」みたいなポーズのクトゥルフもいいですけど。 ただ内容は、TRPG関係の論は一本だけ(「寺田幸弘「クトゥルー神話とT…
1947(昭和22)年の小林秀雄。坂口安吾「教祖の文学」への言及あり。 そろそろ第一次小林秀雄全集の話に入りそうです。12月号に期待。
この本も読んでいませんでした。AMAZONより内容紹介を。 ※ 多くの人が戦争を無くしたいと思いながら、現実には次々と戦争が生み出されているのはなぜか。戦争を引き起こしているそもそもの根源は「国家」であり、国家とは何よりも軍事力であった。国家…
私の知らない間に、通常兵器軍縮論が刊行されていました。 ※ 「核なき世界」に向けた第一歩――通常兵器軍縮論とは何か? 核軍縮についての議論が様々な課題を抱え難航しているのに比べ、通常兵器の軍縮はわずかながらも着実に条約等の履行が進んでいる。「核…
福地桜痴には厳しい評価を下さねばならないようです。 戦間期には平和主義的なことも言っているのですが、戦争中に正面から戦争に反対する言論は見つかりませんでした。 嘆かわしいことですが、他人事ではない、と思います。軍事力によらずして軍事力を止め…
山田俊治『福地桜痴』をもとに年表を作成してみました。 1867(慶応3) ナポレオン兵法を翻訳出版 1868(慶応4=明治元) 幕府海軍による防備の策を進言、斥けられる 1875(明治8) 江華島事件。征韓論反対の社説を掲載 1877(明治10)…
集団内の平和と集団間の平和、といったことを考えてあれこれ検索していたら、この本の書評が見つかりました。 私は護憲派ですが、日本国憲法は日本国のあり方を規定する憲法であって、それとは別の憲法・国制を持つ国家・組織との平和を保つには、日本国憲法…
明治二一年の段階で明治三六年を、つまり架空の未来社会を描いた小説。 清水潔(しみずきよし)と夢野実(ゆめのまこと)、女優の乙女の三人が、官界、政界、財界、文学、演劇などの諸事業に手を出しては失敗を重ねる話です。 面白くなりそうな設定ではある…