核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

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昨日は休んでしまいすみませんでした。今回は福地桜痴とは関係ない(?)話で。 小林秀雄が文壇内で権力を掌握していった過程に思いをはせていたら、フィッシュの『このクラスにテクストはありますか』が読みたくなりまして。そんな基本文献を読んでなかった…

サアサアサアサア

福地桜痴の『滑稽妄説 仙居の夢』(一八九〇)という政治小説の、西藤という壮士が悪徳政治家を問いつめる場面で、 「サアそれは」 「サア」 双方「サアサアサアサア」 と、歌舞伎っぽい掛け合いがでてきます。 人気現代ものドラマでこの「サアサアサアサア…

福地桜痴が考えた私擬憲法

一八八一(明治一四)年。日本各地の有志と同様、福地桜痴も私擬憲法(ぼくのかんがえたけんぽう)を発表しました。 (以下、山田俊治『福地桜痴』一四〇~一四一頁より要約) 欽定憲法でも民定憲法でもなく、国会で審議制定される国約憲法。 法の前の平等、…

通常兵器の廃絶をためらう福地桜痴

一八八四(明治一七)年。福地は『東京日日新聞』の社説「欧州ノ侵略主義」で、「文明ハ強兵ヲ云フ」のではなく、「最多量ノ幸福ヲ享有セシムルニ在リ」と、侵略主義を批判していました。しかしその翌日の社説「欧州ノ武備」では、「平和ヲ唱ヘ兵備ヲ廃スルノ…

「暴を以て暴に代へ何ぞ論ずるに足らん」

福地桜痴が桜田門外の変(井伊直弼暗殺)を詠んだ「刺客歌」という漢詩の一節です(山田俊治『福地桜痴』三四~三五頁より)。井伊直弼の独裁政治を批判しつつも、その暴力に暗殺という暴力で対応する刺客たちの行動を、桜痴は認めませんでした。 ……これだけ…

福地桜痴「女壮士」(『文華』一九〇三年一一月号)

あの『女浪人』に近い時期で、日露戦争直前でもあるこの作品。 国会図書館の閲覧室まで見に行ったのですが期待はずれでした。コピーはとらなかったので、山田俊治『福地桜痴』三五四頁より。 「権門に媚びて立身した旗本の文弱な子息との婚姻を父から強制さ…

芹沢かも

山田俊治『福地桜痴』の三三六頁、小説『女浪人』のあらすじを記した箇所に、「芹川鴨」と書いて「せりざわかも」とルビをふった箇所がありました。「芹沢鴨」または「せりがわかも」の誤植かも、と思われる方のために一言。 近代デジタルコレクションで読め…

福地桜痴「悪因縁」(『文芸倶楽部』一八九六二月 予定)

すげー読みたくなるのですが単行本化はされてない未完の作。 山田俊治著(二八二頁)よりあらすじをさらに要約します。 文久三年(一八六三)。ヒロイン阿高の夫賢之丞は、紀伊派と一橋派の政争に敗れて失踪し、阿高は長坂という男の後妻となります。 嵐の夜…

福地桜痴『思ひ思ひ』雑感

なぜこの作品が、私を久しぶりにしあわせな気分にさせたのか。思いつくままに書いていきます。 才子佳人が恋愛の末に結婚する小説というのは明治前期によくあるのですが、この小説は才子と不美人才女が結婚したところから始まり、それこそ「思ひ思ひ」に文学…

福地桜痴『思ひ思ひ』(一九〇一)

欧米帰りで女権拡張論者の乗子(のりこ)と、華族出で文学改良論者の光氏(みつうじ)。この赤居新婚夫婦が上流社会に風雲を巻き起こすという、風変りな物語。ヒロインの挿し絵からしてありがちな明治の美人風ではなく、力持ちで大柄に描かれています。 村井…