核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

クリティアスの系図

アテナイの立法者ソロンから、クリティアスやプラトンにいたる系図をウィキペディアから転載します。なお、項目名はカライスクロスの親のクリティアス(Ⅲ)であり、無神論と三十人政権の人、カライスクロスの子クリティアスは(Ⅳ)である点にご注意ください…

笛の名人でない者が名人と思われようとしたら―クリティアス対テラメネス決着編

クセノフォーンの『ソークラテースの思い出』(岩波文庫)より、ソクラテスの発言。 「笛の名人でない者が名人と思われようとしたら(略)名人は大勢の人々が賞讃するから、彼も大勢の喝采連を雇わなくてはならない。しかし、演奏はもちろんどこでも引受けて…

彼が思い違いをしていることにわたしは驚きはしない。Xenophon : Hellenica

クセノフォン(Xenophon。表記はクセノポンだったりクセノフォーンだったりします。ソクラテスの信奉者で騎兵戦術のパイオニア)の”Hellenica”(ギリシャ史。第2巻第3章)より、歴史上の人物としてのクリティアスのひとコマをご紹介します。 引用はバルバ…

よく研究者を名乗れるな・・・

前回ご紹介した、『作家と戦争 太平洋戦争70年』(河出書房新社 2011・6・30)ですが、なぜか訪問者の方が多かったので(当社比5割増し)、ご関心をもたれる方も多いものと思い、ひきつづき取り扱います。 昨日の記事で、私が「論理も倫理も実証も…

我が師よ!あなたもですか!?

『作家と戦争 太平洋戦争70年』(河出書房新社 2011・6・30)なる、できたてほやほやの本を読んでたわけですよ。川村湊×成田龍一や吉本パパバナナ隆明やなんかの、論理も倫理も実証もない文を読みたおして、ようやく実証性のありそうな、吉野孝雄「…

それが答えか!?          クリティアス断片集その2

毎度おなじみアテナイの危険な思想家Kritiasの名(?)言集を、バルバロイ様の名訳でご紹介します。 http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/sophists/krt3.html#0 右から左にコピペしてるだけだろとか言わないように。私なりに吟味はしているのです。か…

クリティアス断片集

先日ご紹介した、古代アテナイの無神論者クリティアスの著作は、現在では一冊も残ってないのですが、他の著者に引用された断片は結構残っているようです。おなじみバルバロイ様(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/sophists/krt1.html)より、クリ…

反心理文学論序説

今やすっかり明治マイナー平和小説発掘屋のアンタルキダスですが、昔はこれでも夏目漱石と柄谷行人を愛読する、まっとうな文学青年だったのです。 修士論文は『明暗論・権力と自由』でしたし(歴史から抹消したい)、最初の博士課程入試論文は『横光利一「機…

村井弦斎の絶対平和主義宣言

今の世の文明を称するものは人類の暗黒な方面が進歩したものです。飛行機が天を翔り、潜航艇が海を潜るのも、戦争といふ殺人事業が進歩した事ではありませんか。(略)戦争の道具は百年前に比して幾百倍の進歩を称してゐますけれども、美術文藝音楽其他美に…

長尾龍一 「クリティアス論草稿」(『社会科学紀要』(東京大学)16(1967.3.))

古代ギリシャの思想家・詩人・軍人・政治家であり、晩年は独裁者として悲惨な最期をとげた、カライスクロスの子クリティアス(紀元前450頃~404403)なる人物についての研究を紹介します。以下、バルバロイ様(http://web.kyoto-inet.or.jp/people/…

ヒカリさんだけゴシック体のなぞ、とけた

大江健三郎が家族について書いたものを読んでいると、長男ヒカリさんのセリフだけ、 イーヨーは、もういません! みたいになってることがあります。違和感を感じてたのですが、今さら納得しました。エッセイ「私が、もう、闘いましたからね!」(『ゆるやか…

『木戸幸一日記 上巻』『木戸幸一日記 下巻』

木戸孝允の妹の孫であり、1940~1945年に内大臣をつとめた重臣筆頭の日記です。 (昭和十五年)九月十日(火)曇 独乙機大英博物館爆撃云々の記事朝日新聞に出たる為め、文化の破壊につき御心配被遊、何とか独英両国に申入るゝ方法はなきやとの御下…

村井弦斎 『日の出島 住の江の巻』 序説

小林秀雄を読んでいると、本当に文学なんてものが嫌になります。 同感の方もいらっしゃると思いますので、気分を変えて、私の専門である明治の知られざる新聞小説のひとつをご紹介します。『食道楽』『酒道楽』(岩波文庫)で知られる村井弦斎の最大の長編『…

小林秀雄論文、もう少し時間がかかりそうです。

『日本文学』は20日しめきりなので、できれば間に合わせたかったのですけど。無理なようです。 資料はもう十分なのですが、小林秀雄とその信奉者たちの文章というやつは、打ち込んでいるとだんだん気がめいってきまして。胸ふさぐ思いというやつです。出口…

別紙資料1 小林秀雄 ”我が闘争”

小林秀雄 ”我が闘争” (『朝日新聞』 1940(昭和15)年9月12日) 「ヒツトラーの「我が闘争」といふ有名な本を、最近僕ははじめて室伏高信氏の訳で読んだ。 (略) 彼は、彼の所謂主観的に考へる能力のどん底まで行く。そして其処に、具体的な問題…

別紙資料2 小林秀雄 林房雄 石川達三 「英雄を語る」

小林秀雄 林房雄 石川達三 「英雄を語る」(『文学界』 1940(昭和15)年11月 1~6次全集すべてに未収録) 「林 英雄とはなんだらう。 石川 実例を以て話をしてくれませんか。 小林 太閤秀吉みたいな人だよ。 林 西洋では・・・・ 小林 ナポレオン…

別紙資料3 平出英夫 小林秀雄 河上徹太郎「鼎談 海軍精神の探究」

海軍大佐平出英夫 小林秀雄 河上徹太郎 「鼎談 海軍精神の探究」 (『大洋』 1942(昭和17)年5月 小林秀雄全集(1~6次) すべてに未収録) 「小林 いつかあなたの放送なすつた中にあつた、特別攻撃隊といふ文句、あゝいふ言葉が、言葉の上からで…

別紙資料4 「海外短信 ドイツの国外作家 百五十人余も消息不明」

「海外短信 ドイツの国外作家 百五十人余も消息不明」 (『朝日新聞』 (国会図書館所蔵) 1940(昭和15)年9月4日 記者名なし) 「今次大戦間ドイツを逐はれてフランスに移住したドイツ科学者・文人の数は、有名なものだけでも百五十名に達すると言…

別紙資料5 小林秀雄 「思想家の思想」

小林秀雄 「社会時評(3) 思想家の思想 シヨオペンハウエルの幽霊」 (『東京朝日新聞』(国会図書館所蔵) 1939(昭和14)年10月7日) 「芸術家としての余生を送るであらうといふ、ヒトラーの言葉に彼の実感を読むのは誤りだらうか。芸術家の仕…

平野啓一郎「『バベルのコンピューター』」(『滴り落ちる時計たちの波紋』 文芸春秋 2004 収録)

はじめにお詫びします。こういうタイトルの小説があることは知っていましたし、ある有名評論家が作中の架空芸術家を実在の人物とかんちがいした批評を書いた事件も覚えていました。ただ、実際に読んだのはつい4日前でして、以下の「バベルの図書館」(ボル…

小林秀雄の戦争責任

7月3日の発表の場では、小林秀雄を(戦争協力者ではなく)戦争責任者であるとする私の意見に対して、彼がどこまで当時の日本の政局に影響を及ぼせたのかという質問がありました。 平出英夫大佐との人脈を明らかにすることで一応答えられたとは思いますが、…

無責任の体系。

安田浩 『天皇の政治史―睦仁・嘉仁・裕仁の時代』 青木書店 1998(平成10)年 9月16日、閣議は三国軍事同盟案を決定、19日の御前会議での承認、上奏、裁可で国家意思は確定した。(略)天皇がしばしば親政を実施しながら「立憲君主」として輔弼に…

東北大学総長の論文二重投稿発覚

asahi.comより。 自白すれば許されるってものでもないけど、罪が軽くなるのは確かなようです。 果たして、名古屋大学のモラルは東北大学よりましでしょうか。 ※ 東北大学の井上明久総長が新たに論文2本を二重投稿していたことがわかり、それぞれの論文が取…

神動画!空からブタが降ってくる

以前にも紹介したことのある曲ですが、このたびヤットデタマン本編の映像を発見しましたのでご報告します。 http://www.youtube.com/watch?v=xN_8zK7SebQ 著作権上の問題があるようでしたらすぐに削除します。 コマロ王子がおなかをすかせた状態で勉強してい…

YAHOOニュースより 「原発賛成やらせメール 関連会社に依頼」

九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機運転再開問題を巡り、経済産業省が先月26日に放送した県民向けの説明番組について、九電の眞部利應(まなべとしお)社長は6日夜に緊急会見し、九電側が子会社に原発の再稼働に賛成する内容の電子メールを番組…

なんだろう、この底知れない後味の悪さは。

まちがったことはしていない。 嘘に嘘を重ね、罪のない人々を苦しめてきたのは彼らのほう。 だが、手を汚してしまった事実は消えない。 (加筆)・・・といった自意識など、私はとっくに卒業したのです。 私が本当に悪いことをしたのなら、必ず誰かが裁くで…

発表資料 その5(結論部分)

5 まとめ―小林秀雄のどこに問題があったのか? 引用17 森本淳生 『小林秀雄の論理―美と戦争』 人文書院 2002(平成14)年 戦争を語る小林の論理は、彼の最良の文学的テクストをなりたたせているものと本質的には異なるところがない。(略)戦争にま…

発表資料 その4

4 太平洋戦争下の小林秀雄―全集未収録鼎談「海軍精神の探究」をめぐって 引用15 森本淳生 『小林秀雄の論理―美と戦争』 人文書院 2002(平成14)年 吉本隆明にとっては戦争に対する「思想的な負債」が少ない文学者であったにせよ(「小林秀雄の方法…

発表資料 その3

3 三国同盟の成立過程と、小林秀雄の果たした役割 別紙資料2 「英雄を語る」 『文学界』 1940(昭和15)年11月1日 (ヒットラーを「英雄」と評価し争って礼賛する小林秀雄・林房雄・石川達三) 引用8 山川菊栄 「ナチスと婦人」(『読売新聞』 …

発表資料 その2

2 小林秀雄「我が闘争」における、初出と全集版の本文異同 引用7 小林秀雄全集における本文 「断想」 第1次『小林秀雄全集』第4巻 創元社 1955(昭和30)~1957(32)年 これは全く読者の先入観なぞ許さぬ本だ。ヒットラー自身その事を書中…