核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

明日は何を読んだものか。

連休前に図書館に行って来ようと思います。クラウゼヴィッツの戦争論は確定として。

クラウゼヴィッツ『戦争論』中巻(予告)

だいぶ前に岩波文庫『戦争論』上下巻を古本屋でセットで買ったのですが、索引を見て中巻が存在したことに気づきました。よりによって「将帥への信頼」とかそのあたりが中巻。

「どうやって?」に答える平和主義

アリストパネスや村井弦斎は、「どうやって戦争を止めるのか?」という問いに、「女性の力によって」と答えました。 星一は「薬の力で」、賀川豊彦は「(空中や宇宙への)移民で」と答えました。 空想的であるとか、批判はいくらでも可能だとは思います。が…

『リューシストラテー』中の羊毛平和論

アリストパネス『リューシストラテー』(『女の平和』)のクライマックス場面。 ※ リューシストラテー そもそも戦争なんかする必要はありません。 先議委員 では他にどうやって我が身を守る。 リューシストラテー わたしたちがあなたたちを守ってあげます。 …

アリストパネス『テスモポリア祭を営む女たち』(『ギリシア喜劇全集3』岩波書店 二〇〇九)

別名『女だけの祭』。今回は反戦要素は薄く、ジェンダー論に特化した作品です。 エウリーピデース(実在の悲劇詩人。以下長音あり表記で)が登場します。女性描写に長けた作家として今日でも知られていますが、この劇中ではそれゆえに女性たちから恨みを買っ…

岩波書店『芥川龍之介全集 第十二巻』(一九七八)より

「将軍」関係の記事が目当てで、芥川の創作メモやら座談会やらを読んでみたのですが、 ※ ○将軍。頼朝、尊氏、家康。 (「手帳」(十) 岩波書店『芥川龍之介全集 第十二巻』(一九七八) 五四〇ページより) ※ 違う。そうじゃない。 ならアリストパネス関係…

芥川龍之介「明治文藝に就いて」(大正十四年十月)

※ 八 憐れむべし、老桜痴。更に憐れむべし、老逍遥。過去世は既に逍遥を推して桜痴の上にあらしめたり。現世はその先後を知るべからず。未来世は桜痴を推して逍遥の上にあらしめん乎。 芥川龍之介「明治文藝に就いて」(岩波書店『芥川龍之介全集 第十二巻』…

『赤と黒』の犯罪論

前回に続き、「将軍」より。 ※ 彼はほとんど戦争は、罪悪と云う気さえしなかった。罪悪は戦争に比べると、個人の情熱に根ざしているだけ、×××××××出来る点があった。 ※ そして、スタンダール『赤と黒』中の、ジュリアンの犯罪論。 ※ 「すくなくとも犯罪を行…

『赤と黒』の勲章論

芥川龍之介の「将軍」の一節。 ※ それは彼の頭には、一時愛読したスタンダアルの言葉が、絶えず漂って来るからだった。 「私は勲章に埋まった人間を見ると、あれだけの勲章を手に入れるには、どのくらい××な事ばかりしたか、それが気になって仕方がない。………

スタンダール読み進まず。

どうも、「伯爵夫人は馬車で舞踏会へ出かけた」式の、お上品な小説は苦手です。 アリストパネスのお下劣さの方が、私に合っているようです。

スタンダアルなど読んでみる。

将軍とか勲章とかに関する警句めあてで。

そろそろ近代に戻るか

しかし、古代は言うほど古代で、近代は言うほど近代なのか?とも思いつつ。

アリストパネス『プルートス』(紀元前三八八年 『ギリシア喜劇全集4』(岩波書店 二〇〇九)より)

アリストパネス最後の作品。 嘘つきや悪人が富み栄え、正直な善人が損をする、そんな社会。 富の神プルートスには見る目がないのではないか、といわけで、プルートスの眼を治療する計画を立てた主人公クレミュロス。その前に、貧乏の女神ペニアーが現れ、計…

アリストパネス『女の議会』(『ギリシア喜劇全集4』(岩波書店 二〇〇九)より)

男装した女性たちが大挙して民会を乗っ取り、合法的に女性の支配を定めてしまう物語。 ※ 次のことだけを考え、ただ支配させてみようではないか。 すなわち、第一に女性たちは母親であるがゆえに、兵士たちの安全を切望するという。第二に、食糧を生みの母親…

将軍とはいったい何か

古代ギリシアの文献を読んでいても、上記の問題が私の頭を離れることはありません。 アルキビアデスと乃木希典では似たところは何一つありませんが、人間を兵士に仕立てて死に追いやる存在という点は共通しています。 一将功成りて万骨枯る。歴史を万骨の側…

山路愛山のアルキビアデス評

明治大正の日本人は、あのアルキビアデスをどう見ていたか。何件か見つかりました。 山路愛山『東西六千年』(春陽堂 一九一六)より。 ※ (前半略 出自と長所短所を述べた後に) 彼の不謹慎なるや或る事を為さんとする時に法律を問はずして之を為し、己が目…

小谷野敦『忘れられたベストセラー作家』(イースト・プレス 二〇一八)

軽いつっこみから。木下尚江の「『良人の自白』は明治三十七年から二年、「大毎東日」に断続的に連載され」(七一ページ)とあるのは、『毎日新聞』の誤りと思われます。「大阪」も「東京」もつかない、島田三郎経営の『毎日新聞』。私は同作品の初出を縮刷…

漱石『吾輩は猫である』中のアリストパネス

古代ギリシアネタが意外と多い同作品。主人と細君の会話で。 ※ 「いや、まだ飲む。一番長い字を教えてやろうか」 「ええ、そうしたら御飯ですよ」 「Archaiomelesidonophrunicherataと云う字だ」 「出鱈目でしょう」 「出鱈目なものか、希臘語だ」 (夏目漱…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊』(新潮社 二〇一七) その3

読み返してみても、同書はアリストパネスを過小評価しすぎ、アルキビアデスを過大評価しすぎだと思うのです。 いくら戦闘能力と人間的魅力があったとしても、源義経に征夷大将軍がつとまるか?呂布に皇帝がつとまるか?と同じ理由で、アルキビアデスにアテネ…

『日本文学』11月号特集 「近代化」言説の光と影のあわい

このところ古代ギリシアの話ばっかだったので、少し近代文学の話題に戻ります。 日本文学協会公式サイトより。 ※ 11月号特集 「近代化」言説の光と影のあわい 1968年6月に東京都立大学(当時)で開催された日本文学協会第23回大会は、文学の部で「日本文学に…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊』(新潮社 二〇一七) その2

同書後半の記述をもとに、民衆をそそのかして戦争を煽り立てた将軍の話でも書いてみようかと思います。 前半の主人公ペリクレス(アテネ民主政最盛期の将軍。パルテノン神殿を建てた人。当ブログでも扱いました)を父親代わりに育った、後半の主人公アルキビ…

なんで反戦劇なんてものがあるかっていうと

なんでアリストパネスは反戦劇を書かねばならなかったかっていうと。 反対側には、民衆をそそのかして戦争を煽り立てる将軍や政治家がいっぱいいたからでして。 明日はアルキビアデスの話でも書こうかと思います。ブログの制限字数におさまるかどうか。

平和主義の二源泉

『平和』のヒュポテシス(古伝梗概)に、次のような記述があります。 ※ このように今度もまたこの劇によって、戦争がどれだけ多くの禍いを作り出し、平和がどれだけ多くの幸いを作り出すのかを示し、人々が平和を望むようにと促す。また、平和について忠告し…

アリストパネス『蜂』(紀元前四二二年 『ギリシア喜劇全集2』岩波書店 二〇〇八)

社会派。問題作。反戦だけにとどまらないアリストパネスの底力を見ました。 すっぽりと網で包まれた家が舞台。裁判道楽の老人ピロクレオーン(以下、長音あり表記で)が事あるごとに裁判に出たがるので、息子ブデリュクレオーンが閉じ込めたわけです。以下、…

アリストパネス『平和』再読その2

長いので引用はしませんが、平和到来で職を失った武器職人たちに、武器防具のリサイクル術を教える場面もありました。通常兵器の廃絶構想の最古の例かも。

アリストパネス『平和』再読

今回、これはと思った一行。 平和の女神エイレーネーを救うために、みんなで綱を引く場面で。 主戦派たちがさぼったり邪魔をしたりする中、 ※ トリュガイオス (ヘルメースに)でも、立派な方よ、ラコーニア人たちは雄々しく引いている。 (『ギリシア喜劇全…

平和は十二日後に訪れた。

喜劇『平和』は平和条約の前後どちらに上演され、賛否いずれの立場だったのか。解決しました。 『世界の名著 5 ヘロドトス トゥキュディデス』(中央公論社 一九七〇)より。 ※ 〔二〇〕この平和条約が成立したのは冬も終わり春に入ったころ、アテナイでは…

塩野七生『ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊』(新潮社 二〇一七) その1

成熟の人ペリクレスと、崩壊の人アルキビアデスを扱った第二巻。今回はそのどちらでもなく、アリストファーネス(塩野著ではこの表記)の喜劇『平和』の扱いについて。 ※ この「平和」(引用者注 ニキアスがスパルタと結んだ平和条約)を酷評したアテネの知…

山崎行太郎の「月刊・文芸時評」(第165回)マルクスとエンゲルス(第44回)小林秀雄の「マルクスの悟達」を読む(2)

月刊日本 22(3), 110-113, 2018-03。 CiNiiで検索したら出てきました。「マルクスの悟達」に特化した論は珍しいので読んでみます。 (2018・4・2 追記 山崎氏のブログで、(1)ともども読めました)