核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『リューシストラテー』中の羊毛平和論

 アリストパネス『リューシストラテー』(『女の平和』)のクライマックス場面。

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 リューシストラテー そもそも戦争なんかする必要はありません。
 先議委員 では他にどうやって我が身を守る。
 リューシストラテー わたしたちがあなたたちを守ってあげます。
 (『ギリシア喜劇全集3』岩波書店 二〇〇九 三九~四〇ページ)
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 ……女が政権につけば戦争はなくなる、というリューシストラテーに、男の先議委員はなおも疑問をぶつけます。「どうやって」と。

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 先議委員 どうやる?言ってみろ。
 リューシストラテー 機織りの糸と同じです。もつれたときはほらこんなふうに糸をもって紡錘(つむ)で引っ張り出してやるんです。こちらまたあちらとね。戦だって同じように解きほぐせます。任せてくださればね。使節を派遣して選り分けるんです、こちらまたあちらと。
 先議委員 羊毛、毛糸、紡錘、それで天下の一大事を阻止することができるだと?浅知恵もいいところだ。
 (同書 四五~四六ページ)
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 ……「糸と同じように」というリューシストラテーの平和論は抽象的に過ぎ、男性側を説得することはできませんでした。が、読み捨ててしまうのも惜しいと思い、ここに書き写した次第です。