核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

大町桂月 「現代不健全なる二思想」 『太陽』 1903(明治36)年11月

『近代文学評論大系 第2巻 明治期Ⅱ』(稲垣達郎・佐藤勝編 角川書店 1972(昭和47)年)、355~359ページ。「、」「○」「◎」三種類の傍点がびっしりとついていますが、わずらわしいので省略します。 ※ 近時、非戦争論を唱ふるものあり、又非国…

抱月子(島村抱月) 「小説を読む眼」 『読売新聞』 1895(明治28)年8月26日

『近代文学評論大系 第2巻 明治期Ⅱ』(稲垣達郎・佐藤勝編 角川書店 1972(昭和47)年)、34~35ページ収録。当時の読者層を分析した批評です。以下要約。 第一、文章を愛づる眼 (依田)学海など。古風の学者に多い。 第二、事柄を面白がる眼 最…

『近代文学評論大系 第2巻 明治期Ⅱ』(稲垣達郎・佐藤勝編 角川書店 1972(昭和47)年)

いずれ自分なりに明治の批評史をまとめてみたい。そんな野望を抱く私の愛読書です。 この巻は1895(明治28)年から1905(明治38)年までの文学評論を収録。 まずは日露戦争下の「平和主義」がらみを。 ※ 小説「火の柱」は木下尚江氏の著なり。著…

ケベドのチェスロボット

シャノンの論文にあった、ケベドが1914年に発明したチェス機械のサイトを紹介します。 http://history-computer.com/Dreamers/Torres_chess.html アームではなく、盤の裏から磁石でずりっとコマを動かす仕掛けだそうです。youtubeで「QUEVEDO CHESS」で…

クロード・E・シャノン 「チェス指し機械」(1955) その2

1955年の科学水準で、チェス指し機械は実現可能か。シャノンは三段階にわけて解説します。 第一段階。8×8のチェス盤のマス目それぞれに、行と列からなる番号を与える(左下隅が00、右上隅が77)。 各駒にもそれぞれ番号を与える。これで、盤面のす…

小林秀雄 「常識」 『文藝春秋』 1959(昭和34)年6月 その2

重要な異同のみ指摘します。230ページ上段5行目。 ※ 「仮りに、先手必勝の結果が出たら、神様は、お互にどうぞお先へ、といふ事になるな」 「当り前ぢやじやないか。先手を決める振り駒だけが勝負になる」 ※ 一方、第五次『小林秀雄全集 第十二巻 考へる…

小林秀雄 「常識」 『文藝春秋』 1959(昭和34)年6月 その1

予定を変更して、小林秀雄「常識」の初出を紹介します。全集や文春文庫版と読み比べると、けっこう看過しがたい異同があったもので。 「考えるヒント」という副題は編集者がつけたそうですし(「役者」より)、「名人の読み」「不思議な傾向」という小見出し…

クロード・E・シャノン 「チェス指し機械」(1955) その1

原文は入手できなかったので、国会図書館で電子書籍化されていた『現代科学読本』(1955(昭和30)年) 収録の日本語訳を紹介します。残念ながら近代デジタルライブラリーでは読めませんでした。館内限定閲覧です。 「電子計算機械は元来,純粋に数学…

白番87.5目差勝利(ただし9路盤)

これが囲碁なのかという感じです。前に読んだ将棋とコンピュータの本では、盤が小さいゲームほどゲーム木の枝分かれが少なくなり、従って同じ容量と思考時間でより強いソフトになるとのことでしたが・・・ 囲碁の場合(SDINレベル3)、19路盤より9路盤…

黒岩比佐子の遺した「世界」 「『食道楽』の人、村井弦斎」を見て、聴いて、食べる。

イベントの紹介です。2012年8月4日・5日。アートガレー神楽坂にて。 黒岩比佐子の遺した「世界」 「『食道楽』の人、村井弦斎」を見て、聴いて、食べる。 会場・時間などの詳細はこちらの、アートガレー神楽坂様のサイトをごらんください。 http://ar…

カフカ 「父の気がかり」(1915 池内紀訳『カフカ短編集』 岩波文庫 1987)

ぱっと見は「星型の糸巻き」。真ん中から脚のようなものが生えてて、転がるように移動します。 謎の物体、といいたいところですが、会話も可能です。 「なんて名前かね」 「オドラデク」 「どこに住んでるの」 「わからない」 ・・・こっちもわかりません。…

小林秀雄の潜水艦撃沈発言について

2012年5月24日の当ブログでとりあげた、「鼎談 海軍精神の探究」 『大洋』1942(昭和17)年5月号に、小林秀雄の「この間日本の輸送船が潜水艦を沈めましたね」という発言がありました(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2012/…

遅塚麗水 「支那人」 『政界往来』 1937(昭和12)年12月号

福地桜痴や村井弦斎は晩年になって平和主義に転じたのですが(『女浪人』『小松嶋』)、遅塚麗水についてはそうしたことはなかったようです。この随筆「支那人」を読む限りでは。 三皇五帝時代の中国を「共和主義」と位置づける冒頭部分はちょっと面白かった…

『原敬関係文書 第八巻』による1906(明治39)年の木下尚江

前回に引き続き、『原敬関係文書 第八巻』(原敬文書研究会編 日本放送出版会 1987)313~314ページの調査報告を紹介します。当時の原敬は内務大臣として社会主義者を取り締まる側だったわけですが、彼の残した資料は役に立ってくれています。 ※ …

『原敬関係文書 第八巻』による木下尚江の生計

1907(明治40)年前後の社会情勢を知りたい方は必見の、『原敬関係文書 第八巻』(原敬文書研究会編 日本放送出版会 1987)。当時の新聞や雑誌の発行部数や関係者一覧も載ってます。 今回取り上げるのは、原敬が最初に内務大臣になった時期(19…

学位審査の日程

そろそろ期日が迫ってきましたので、特に当日前後はブログの更新が滞るかもです。ご了承ください。 ※ 日時:8月9日(木) 15:00~17:00 会場:名古屋大学大学院 文学研究科128室

木下尚江 「小説始末記」その2(『木下尚江全集』第一九巻 教文館 2003)

一つ「小説」に立て籠もつて、非戦論を書いてやらう。そんな動機でスタートした尚江の連載小説。 ※ 偖て明治三十七年の元日から、「火の柱」が毎日新聞の第一面へ出た。平福(百穂)君が矢張り画を書ひて呉れた。実際勿体ないことであつた。 ◇ 君よ。是れで…

木下尚江 「小説始末記」(『木下尚江全集』第一九巻 教文館 2003)

絶対平和主義者はいかにして小説を書くに至ったか。その貴重な証言です。 ほぼ同じ内容の書簡もあるのですが、今回は全集初収録の早稲田草稿2006バージョンで。 ※ 君よ。 日露戦争時代の新聞社で何をして居たかと云ふ質問に対し、「始めて小説と云ふものを書…

明治年間好評書籍(『婦女新聞』1911(明治44)年10月20日)

元は『帝国教育』の10月号(?)掲載ですが、ひとまず孫引きで。明治末期における文壇格付けランキングの一例として紹介します。 ※ 今月の帝国教育に明治年間好評書籍大番附といふのが載つて居るが一寸面白い、勧進元が食道楽(しよくだうらく)、行司が新…

伊藤秀雄 『明治の探偵小説』(晶文社 1986)

中学時代に読んだ黒岩涙香訳『死美人』の面白さが忘れられず、川崎市役所で働きながら涙香のコレクションを続けた(あとがきより)著者による、膨大な情報量の明治探偵小説史です。まさに労作。 1887(明治20)年11月、饗庭篁村がポーの「黒猫」を(…

村井弦斎 『日の出島 鶴亀の巻』より「福地桜痴氏」

村井弦斎が当時の有名作家を評した「文学魔界」の一節。近代デジタルライブラリーではhttp://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/887972の(80/187)。 ※ 露伴氏紅葉氏の文の如きは巧なりと雖(いへど)も譬(たと)へば鰻飯の如し、二度も三度も続けては…

白番87.5目勝ち

SDIN無料囲碁、19路盤レベル3。ようやく囲碁の攻防がつかめてきました。とにかく三連星ひとすじ。 今が一番面白い時期かもしれません。将棋も、棒銀や石田流を覚えた頃が一番楽しかったような。 とはいえ、まだレーティングや対人戦に挑戦するのは不安な…

村井弦斎 『日の出島 鶴亀の巻』より「文学魔界」(近代デジタルライブラリーより)

ネット上で明治の文学作品が読める近代デジタルライブラリー。「文学魔界」のページはこちらです。 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/887972 このページ(72/187)から(86/187)までです。フルスクリーン表示で拡大すると読みやすいかと。…

SDIN無料ゲーム 囲碁

http://sdin.jp/browser/board/igo/ 上記のSDIN無料ゲームサイトで、19路盤の白番でコンピューターレベル1に94.5目差で勝利しました。 ただ、どうも敵のプログラムは「シチョウ」という基本技を知らないらしく、B級ホラー映画のようにあたふたと逃げ…

黒い三連星

囲碁の定石をまったく知らない私ですが、ウィキペディアを見て「三連星」という定石があることを知りました。 次に黒番でやる時にジェットストリームアタックしてみようかと思います。 「白い目外しが勝つわ。私にはわかる」 「じゅ、十二子の黒が全滅だとぉ…

遅塚麗水 「初鮭」 (1903(明治36)年)

村井弦斎から「(小説)全篇は感心せんが一回や二回は白玉玲瓏たるものが出来る」と評された作家、遅塚麗水。そのメガネっこ小説「初鮭」を紹介します。以前引用した森崎光子氏の論文「眼鏡をかける女・かけない女」にもあるように、明治文学でメガネっこが…

黒岩比佐子 『『食道楽』の人 村井弦斎』 岩波書店 2004 ―「文学魔界」関係

村井弦斎のみならず、明治文学に関心のある方は必読の大著。 語りたいことは多いのですが、今回はひとまず文学魔界関係の記事のみ紹介します。 ※ この(引用者注 『報知新聞』の連載小説『日の出島』)中で「文学魔界」という章は、一八九七(明治30)年一…

村井弦斎『日の出島』における同時代作家評

『報知新聞』1897(明治30)年1月12日(一)面。小説『日の出島』作中の自称哲学者が馨少年に語る「文学魔界」論の一部です。 2012年現在では知られていない作家が大半ですが、文学史の資料としてアップロードします。 なお尾崎紅葉・黒岩涙香…

都会は犬のブルース

『個人的な体験』を読んでいたら、鳥バード→ホロッホー→エキセントリック少年ボウイ→犬ドッグと連想が進みまして。『ダウンタウンのごっつええ感じ』の一コーナーの、そのまた脇役のテーマ曲です。 作詞・歌 犬ドッグ(板尾創路)。作曲 増田俊郎。 板尾創路…

村井弦斎『日の出島』における森鴎外評

村井弦斎の最長の小説『日の出島』に、当時の有名文学者を批評した「文学魔界」という章があります。 ひとまず森鷗外(もりおうがい。文字化けの際はご容赦ください)の項から紹介します(『報知新聞』1897(明治30)年1月12日 (一)面より。旧字…