核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

個人史よりも社会的影響の観点から

どうもここ数日、素人精神分析批評というか、通俗的なファミリーロマンスに陥ってしまったことを反省しています。弦斎の原動力が仮に父(清)との葛藤にあったとしても、私の力では証明不可能なのでした。 そもそも私の専門は「文学と平和」、もう少し拡大す…

村井弦斎の恋愛/愛情観

村井弦斎の恋愛観について、相反するように見える二つの意見があります。 ※ 弦斎は恋愛を推奨したが、結婚に至らない性関係は強く否定していた。愛することが人間の自然な情なら、自制することもまた人間性の重要な側面なのである。 長山靖生『奇想科学の冒…

村井弦斎『女道楽』中の源氏物語批判。

たしか『食道楽』にも、源氏物語の講釈は料理の役に立たん、といった批判があった気がしますが、『女道楽』はさらに辛辣です。 琴の「葵の上」から、能に登場する六條の息所の生霊の話になって。 ※ 母「それは嫉妬の幽霊だよ、光る君と云ふ人が男にあるまじ…

反復される父の名。

『女道楽』は、題名自体が巨大な釣り針のような作品でして、女道楽をいましめるのが目的で書かれた啓蒙小説です。いつものように、女道楽の主人公と対照的な、青水清という人物が出てきます。 いつものようになのですが、『酒道楽』でその役割を果たすのが「…

『釣道楽』雑感。

やっぱり『釣道楽』好きだなあ。うちには上巻の復刻版しかないのですが、読み返してみてその感を深くしました。 「恋愛なんてものは動物性の劣情」というのが弦斎の口癖でして、この『釣道楽』にもそういうセリフは出て来るのですが、にもかかわらずちゃんと…

『酒道楽』と『釣道楽』

『酒道楽』再読完了。確かに面白かったけど、これで論文は(少なくとも今は)書けないという結論に達しました。 その理由をだらだら書いてみます。 弦斎のほとんどの作品は、「発明が人を不幸から救う」という主張で貫かれてまして、『酒道楽』も例外ではな…

『酒道楽』中の「活動写真」

村井弦斎の『酒道楽』(一九〇二)は、アルコール依存症からの脱却を描いた禁酒小説ではありますが、裏の物語として顕響器(音を大きくする機械)や蓄音器(音を再生する機械)の発明・改良が主題になっておりまして。 そんな同作品の花見酒の場面。酔態を演…

キセル構造。

平和主義という観点から、小説家としての村井弦斎の作品群を眺め渡した場合。 明確に戦争を否定しているのは、第一作『加利保留尼亜』の冒頭と、最終作『小松島』の末尾に過ぎないという、なんか情けない結果になってしまいます。 もちろん、それ以外の厖大…

中公新書編集部編『日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで』中公新書 二〇一八

清水唯一郎「第4章 近代」中の問題提起。 ※ もちろん、それ(引用者注 戦死・戦傷者の増加)は同時に反戦論をも呼び起こす。日露戦争に際して内村鑑三や幸徳秋水ら知識人が非戦論を展開したことはよく知られている。しかし、彼らの主張が大きな広がりを見せ…

T&T・M!M!両用シナリオ「とことんトンネル 探索編」

本作は、「著 ケン・セントアンドレ 翻訳:安田均/グループSNE」が権利を有する『トンネルズ&トロールズ完全版』の二次創作作品です。 (C)Group SNE 「トンネルズ&トロールズ完全版」 (2023・1・18追記 一部改訂しました) 「とことんトンネル」で…

久しぶりに村井弦斎について

木下尚江、矢野龍渓、福地桜痴と並んで、村井弦斎は私にとって重要な作家の一人です。 にも関わらず弦斎についての論文を一本も通せずにいるのは、研究者として忸怩たるものがあります。 いつかはと思っているのですが、今現在の関心事(ムフの闘技的民主主…

赤と白の積分。

論文のことは忘れると宣言したその夜に、論文合評会の夢を見ました。 なぜか私は「赤と白の積分」という口語詩(!)を書いたことになっていまして。思い出すだに恥ずかしい気分です。 この前書いた論文が、赤(平等主義)と白(デモクラシー)の相克を扱っ…

明日はTRPG日。

次の論文のことは一日忘れて楽しもうかと思います。 シナリオは公式の「トラブルイントロールワールド」で。

とらぬタヌキの高揚感。

今年度はボツ論文1本を出しただけだというのに、何かやりとげたような気分になっているのは困ったものです。ムフと出会えたおかげでしょうか。 今年末までにはもう1本書きたいものですが、テーマが決まらないのも困りものです。雑誌の特集に合わせる癖がつ…

今夜のコーヒーは。

文学者にたとえるなら、臼井吉見か小島烏水。作風に共通点はありません。 追記 菊亭香水を忘れてた。

満足と自己満足の間。

論文でも、TRPGでも、その他の作業でも、自己満足はたやすく、人様に満足していただくのは難しいものです。今日は幸い、大いに満足していただけたようです。

デリダ『友愛のポリティックス』1・2(予告)

実のところ、私はデリダを読んで腑に落ちたためしが一度もないのですが。 今の問題意識からすると、避けては通れない本のようです。 果たしてムフの時のように、現代思想開眼の契機となるか、やっぱりデリダは思わせぶりとはぐらかしの天才にすぎなかったと…

汎用迷路作成ツール「とことんトンネル」

サイコロをふって迷路を作成するツールは今までに何度が作ってきましたが、今回はシンプルなやつを。 入口部屋は三方向に出口がある。 それ以降は1ブロック(通路の幅と同じ距離)ごとに1d6をふって地形を決める。 1 行き止まり。他に部屋がない場合は…

二千四百年ごしの転機となるか。

二回に渡ってムフを持ち上げて来たわけですが、道は遠いようです。 ムフ自身の書き方が挑発的というか、「話せばわかる」主義者にことさらに喧嘩を(闘技を?)売るような文体をしていまして、反発を覚える人も多いようです。 ある論文では、ムフは「脱国民…

今夜もぼんやり考える。

批判するのに検索で済ますのもどうかと思ったので、本棚の奥から引っ張り出してきました。 「マタイによる福音書」の5章。 ※ 43 『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め。』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 44 しかし、わたしはあなたがたに言…

今日はぼんやり考えた。

ムフの「対抗者」概念が私を二十年ごしの苦悩から解放してくれたことは前にも述べましたが、人類にとっては二千四百年ごしの転機となるかもと、なかば真剣に考えています。 紀元前、プラトンの『国家』の冒頭部分には、正義の定義のひとつとして「友を利し敵…

次は何をしたものか。

「将軍」論は書く気にならないし、「小さな王国」論は載る気がしないし。 すこし休んで新たな題材を探そうと思います。一応、今年中にもう一本は論文を書くつもりです。

「できたぞ、完成じゃ!」

と博士は言った。今日はここまで。

ほぼ完。

論文の筋はまとまりましたが、今回から注などのフォーマットを変えたので、仕上げに数日かかりそうです。 今回の脳内BGMは、「金太の大冒険」の替え歌で。「慶子、クビだ!ん? 慶子、クビだ!ん? けいこくびだ~ん」とエンドレスで流れてます。慶子さん…

「話せばわかる」でも「問答無用」でもなく―我がムフ読解

あくまでも、「私はムフをこう読んだ」というレベルの話ですが。 「話し合えばみんなわかりあえる」というハーバーマス的な民主主義観は、ムフにとっては楽観的にすぎるわけです。話し合ってもわかりあえない、「われわれ」に還元されない異質な他者というの…

明日から本気出す。

今日は遊んでしまいました。

ジャーナリズムはデモクラシーをどう受け止めたか。

……という一節を設けようと思ったのですが。 確かに『経国美談』の各回末には成島柳北・栗本鋤雲ら当代有数のジャーナリストが評を載せているのですが。伏線がどうとか文章がどうとかいう技術批評がほぼすべてでして、『経国美談』が提起しているデモクラシー…

柳田泉の『経国美談』観、共和政治について

立憲改進党が君主制を提唱していたにも関わらず、矢野龍渓が『経国美談』で描いたのは共和制であった、という問題について、柳田泉はこう書いています。 ※ だが、それだからとて龍渓が共和政治を理想とし、日本に共和政治を採用しやうとしたのだなど考へるの…

SF事件表

やってみて、センスオブワンダーのなさを実感しました。どっかで拾ったようなネタばかりで恐縮です。 ふつうのサイコロ1個を2回ふるか自由選択で。たいていのTRPGに流用可能なはず。 1(近未来) 以下、すべてROC。 1 「うい~ん」とエアカーが走…

時代劇事件帳

やりだすと、止まらなくなるのが悪い癖。 『時代劇の渦』に限らず使えます。サイコロ1個を2回ふるか自由選択で。 ヤクザやすりの戦闘力はゴブリン程度で。 1(早朝) 1 「ちゅちゅ、ちゅん」と雀が鳴く。 2 「土左衛門だ~」と声がする。 3 「行き倒れ…