核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

元准教授の論文捏造172本・・・例のない規模(Yahoo!ニュースより)

不注意な査読者はだませても、学問そのものの厳密さはごまかせないものです。 ※ 元准教授の論文捏造172本…例のない規模 読売新聞 6月29日(金)19時42分配信 東邦大学医学部の元准教授による論文捏造(ねつぞう)疑惑で、元准教授が会員である日本麻酔科学会…

大江健三郎 『個人的な体験』

大江健三郎の「幸せな結婚」シリーズ第二弾。アイロニーではありません。 (以下、2012年7月1日追記) 本当はこのあとに、「幸せな結婚生活とは困難のない状態ではなく、力を合わせて困難を乗り越えることのできる状態である」といった感想を書きたか…

大江健三郎 『二百年の子供』 中央公論新社 2003

先ごろ、大江「氏の本では幸せな結婚をした女性があまりいないのが気になります」というコメントをいただきました。女性や結婚に限らず、そもそも大江健三郎の本で「幸せ」な印象を受ける作品自体があまりない、とは私もつねづね考えていました。その数少な…

将棋とチェスの違い

小林秀雄の批判をやりだすときりがないのですが、これは書いておかねばなりません。 『メルツェルの将棋差し』という訳題は明らかに誤訳なのです。「差し」や、初出での『メエルゼル』という表記はともかく、問題は「将棋」です。 ポーが述べているのはチェ…

松原仁 『将棋とコンピュータ』 共立出版 1994 その2

冒頭から、小林秀雄の「常識」で読んだような話題です。共通の出典があるかはいずれ調査。 ※ もしかりに将棋の神様が二人いたとすれば、先手と後手が決まったときにたしかに勝負はついているのです。 将棋には必勝法があります。(略)ゲーム理論の教えると…

カツオの机がない

昨日のサザエさん。 脚本の雪室氏ほかの表示とともに、羽根の生えたカツオの机が飛んでいくイメージ画像が。 サブキャラに脚光を当てることが多い雪室脚本ですが、ついにあの机が主役を張りました。 やるな。来週の「マスオ出世コース」にも期待です。

松原仁 『将棋とコンピュータ』 共立出版 1994

こういう本を読みたかった。久しぶりにそう思わせてくれる、実に情報量の豊かな本です。 著者は人工知能の研究家で、将棋はアマチュア五段だそうです。 (理系の方らしく、タイトルおよび本文中では「コンピュータ」と、最後の「ー」なしで表記なさっていま…

阿川弘之 『米内光政』(1977)

『新潮現代文学39 雲の墓標・米内光政』(新潮社 1979(昭和54)年)より。 著者は海軍の元通信士官で、戦後の「第三の新人」と呼ばれる世代の小説家。志賀直哉の弟子。 阿川佐和子のお父さんで、童話『きかんしゃ やえもん』の作者でもあります。 …

囲碁。

ルールだけはどうにか知っているし、小学三年生のころから打ってはいるのですが、いまだに入門者レベルです。 定石をまったく知らない、というより覚えられないのが最大の原因です。 どうもコマに顔というかキャラづけがされていないと、感情移入ができない…

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―さらばペリクレス編

書きたい題材がたまってきたので、ペリクレス伝をひとまず終わらせます。 紀元前429年。息子二人を含む多くの人命を奪った疫病に、ついにペリクレスは感染します。 ※ ペリクレスの臨終が迫った時、市民の名士や友人でなお生き残っていた人々が彼のまわり…

台風は去った

久しぶりに図書館に行って、たまった調べ物を片付けてきます。 まず、大江健三郎全集における結婚の扱いについて。 湯川秀樹やポーについても、あと少しだけ調べてきます。 最終結論を出すには、少なくとももう一度国会図書館に行く必要がありますけど。現時…

ドッグ・ファイト

ミサイルが!ば、ば~んと飛んでくるっ!柿崎が!変~型してよけまくる!ひゅるる~るるる~る~♪ 失礼しました。『超時空要塞マクロス』の戦闘場面BGM、「ドッグ・ファイト」の紹介です。 このアニメ、三次元的なロボットアクション(いわゆる板野サーカス…

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―アスパシア編

結婚できない女=負け組という悪しき風潮に一石を投ずべく、ペリクレスの秘書兼愛人、アスパシアを紹介します。 ※ 彼女がミレトス(引用者注 イオニアの都市)出身でアクシオコスの娘だということは一般に認められている。(略)また、昔イオニアに出たタル…

アスパシア

さきほどギリシア(?)のニュースを見ていたら、「アスパシアさん」という若い女性がインタビューに答えていました。 結婚よりも政治参加を選んだ、ペリクレスの秘書アスパシア。やはり彼女の名にあやかったのでしょうか。 長文を打ち込んでもフリーズしな…

カリツォー

キグナスの技としてはたいした威力じゃないけど、サザエさんシールの中では段違いの破壊力でした。

本日も

不調

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―アテナイの疫病編

トゥキュディデス(今回は長音なし表記。統一性がなくてすみません)とは違った視点の、プルタルコスによる紀元前429年疫病の記事を紹介します。 ※ 疫病の災難が降りかかり、年齢の点でも体力の点でも血気盛りの人々をなめ尽くした。人々はそのために身も…

トゥーキュディデース『歴史』における戦争下の人心荒廃

筑摩書房『世界古典文学全集 第11巻 トゥーキュディデース』(1971(昭和46)年。小西晴雄訳。 「人間の本性が同じであるかぎり、(略)過去に起きたことは将来にいつも起こるものである」(116ページ)という言は有名ですが、その続きはあまり知…

トゥーキュディデース『歴史』におけるアテーナイの疫病の記述

筑摩書房『世界古典文学全集 第11巻 トゥーキュディデース』(1971(昭和46)年)より、『歴史』(原著は紀元前432年から同411年ごろ)を紹介します。著者名は文献によってトゥキディデスだったりツキジデスだったりしますけど、今回は長音あ…

杉本健 『海軍の昭和史 提督と新聞記者』(文藝春秋 1982)

米内光政(よないみつまさ)という総理大臣は、今日ではあまり知られていないのではないでしょうか。 東條英機や近衛文麿の前に首相となり、日独伊三国同盟や対米開戦に反対し続けて倒閣された海軍軍人です。 この人物の開戦直前の生の発言について、当時は…

杉本健 『海軍の昭和史 提督と新聞記者』(文藝春秋 1982)その2

海軍大佐・大本営報道部第一課長、平出英夫に関する記述を中心に。()内は注記です。 (徳富)蘇峰は早くから三国同盟論者で、”米英討つべし!”と主張しており、米内(光政)・山本(五十六)時代に容易にO・Kしない海軍の態度を煮え切らぬものとして、なん…

杉本健 『海軍の昭和史 提督と新聞記者』(文藝春秋 1982)その1

アテナイ年代記はしばしお休みにして、平出英夫大佐についての資料を紹介します。 著者は明治44年生まれ、昭和11年から8年間朝日新聞東京本社の政治部員として海軍を担当、戦後は産経新聞に移った方です(著者略歴より)。以下、()内は私のコメントで…

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―ペリクレスの人となり編

「身体の格好は申し分なかったが、ただ頭だけは長過ぎて釣合が悪かった。そのため彼の彫像はほとんどすべて兜(かぶと)をかぶっている」(ちくま文庫『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」262ページ)。 「ペリクレス」で画像検索していただいても…

いとしのマナハウス

都市の栄枯盛衰に思いを馳せていたら、名古屋の大型書店マナハウスに連想が飛びまして。少々個人的な思い出を語らせていただきます。 名古屋最大の繁華街、栄(さかえ)。その地下鉄栄駅から出てすぐのビルに、2000年代に存在しました。 独自の品揃えも…

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―パルテノン神殿の材料と技術者編

内外の反対を押し切る形で着工されたアテナイの神殿。その材料と、関わった技術者について、プルタルコスは詳細に書き残しています。パルテノン神殿を建てたのはペリクレス一人ではないにしても、大工さんだけの仕事でもないのです。 ※ この際の材料は石、青…

『プルタルコス英雄伝(上)』「ペリクレス」―パルテノン神殿着工編

ギリシアといえばパルテノン神殿(最近は経済危機のニュースばっかりですけど)。あの丘の上の、大理石の柱がいっぱい立ってるあれです。ちくま文庫『プルタルコス英雄伝(上)』(1987)の「ペリクレス」伝より、パルテノン神殿建設のいきさつを紹介し…

年表の重要性

ツキジデスの『戦史』を読んでたらねむくなりまして、また更新を休んでしまいました。 いくら私が古代ギリシア好きでも、あそこまで細密だと厳しいです。ちょっと油断すると場面が変わりまして、本筋が何だったか忘れそうになります。いや、私にとっての本筋…

木俣滋郎 『潜水艦攻撃―日本軍が撃沈破した連合軍潜水艦』 光人社NF文庫 2000(予告)

http://www.amazon.co.jp/%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6%E6%94%BB%E6%92%83%E2%80%95%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%BB%8D%E3%81%8C%E6%92%83%E6%B2%88%E7%A0%B4%E3%81%97%E3%81%9F%E9%80%A3%E5%90%88%E8%BB%8D%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6-%E5%85%89%E4%BA%BA%E7%A4%…