核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

トゥーキュディデース『歴史』における戦争下の人心荒廃

 筑摩書房『世界古典文学全集 第11巻 トゥーキュディデース』(1971(昭和46)年。小西晴雄訳。
 「人間の本性が同じであるかぎり、(略)過去に起きたことは将来にいつも起こるものである」(116ページ)という言は有名ですが、その続きはあまり知られていません。第三巻、紀元前427年時点のギリシア諸国の内乱について。
 
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 つまり平和と繁栄の世界においては、不本意な必要に迫られることがないので、都市も個人も良識を保持することができる。しかし戦いは日常の余裕を奪って暴力を教え、現実に対処するのに、殆どの人が同じように理性を失ってしまうからだ。(略)
 暴勇は男々しい同胞愛と呼ばれ、周到な考慮は臆病者のごまかしと考えられ、賢明であることは女々しさを隠すことになり、すべてに聡明であることは一つ一つの事柄に怠惰であるということになる。極端な熱狂は男らしさの一つに数えられ、陰謀は身の安全を計る良い言いわけとなり、極言をする者は常に信頼され、それに反対する者は疑われる。
 (116ページ)
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 米内光政と平出英夫の関係のようです。「将来」にこういう事態を起こさないよう尽力します。