核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

長谷川町子物語

サザエさん放送45周年を記念したテレビドラマです。 エピソードのほとんどが「サザエさんうちあけ話」由来なのは別にいいのですが、同書の持つ、どんな悲惨な事態もユーモアに変えてしまう、あの長谷川町子特有のセンスが発揮されていないのは残念でした。…

ハンナ・アーレントより

2年ほど前のブログでも使いましたが、大事なことなのでもう一度引用します。 ハンナ・アレントは共産主義者から転向した保守主義者についてこう述べています (「エクス・コミュニスト」 1953)。 ※ 彼らは、共産主義と戦うためには共産主義者たちと同…

サマースオルトキック

ホットケーキを焼きながら空中回転するマスオさんを見ていると、ガイル少佐を思い出します。

「ごちそうさん」の室井幸斎が駆け落ち?

しばらく見てないうちに急展開のようです。NHKオンライン様より転載。 ※ 駆け落ちしてきた桜子(前田亜季)と室井(山中崇)が現れ、仰天するめ以子。とりあえず源太(和田正人)を頼り、馬介(中村靖日)の焼氷屋「うま介」に間借りすることに。め以子は…

自然主義じゃないけどリアリスト

村井弦斎の小説を実際にお読みになった方なら、あるいは納得していただけるかもしれません。 弦斎の作品は自然主義以前の手法で描かれておりまして、個々の人物はどうも戯作的というか 、あんまり文学らしくないんですけど。 ただ、弦斎にリアリストを感じる…

村井弦斎『日の出島』「富士の巻」その4 「新華族」

「金十匹」の挿話より少し前、お金夫人が奉公先を探す時点の章です。 口入れ屋によると、近頃(明治30年代)には華族の質も低下したそうで。 ※ 「私どもなんぞでは毎度華族さんへ人を入れるが此頃は華族さんが沢山になつたから仲には随分妙な家があるぜ (…

村井弦斎『日の出島』「富士の巻」その3 「金十匹」

今日はCiNiiがお休みなので、また日の出島に戻ってみます。 ふつつかぶりが目に余り、ついに華族の家に奉公して礼儀作法を学ぶことになったお金(きん)夫人。さっそく「お上」からご祝儀の「金十匹」を賜ります。 ※ お金夫人有難さうに披き見て「オヤ(踊り…

ヤウス『挑発としての文学史』(予告)

この手の文学理論書は、学生時代にむさぼるように読み、さして身につかないまま記憶の彼方に消えていたわけですが、わけあって近日中に熟読せねばならないはめになりました。あまりご期待せずにお待ちください。

『ビッグマンスペシャル 連合艦隊 [上巻]勃興編』世界文化社 1997

太平洋戦争期の軍艦の本はいっぱいありますが、日清・日露戦争期のは意外とないものです。 上掲書の66ページより、戦艦富士のスペックを。 戦艦「富士」 常備排水量: 12、533トン 垂線間長 : 113.40m 全幅 : 22.45m 主機械・缶: レ…

村井弦斎『日の出島』「富士の巻」その2 キッス

太陽燈反対の一味にそそのかされ、石橋学士の前に現れたお金夫人。西洋人の夫婦は人前で抱き合って接吻をすると教えられ、実行しかけたとこでお富嬢に阻止されます。 ※ お富嬢慨然として嘆息し「爾(さ)う言つて見れば今では随分西洋風の真似をする人も沢山…

村井弦斎『日の出島』「富士の巻」その1 戦艦道楽

実在の新造戦艦「富士」を雲野学士らが見学し、その最新技術ぶりをひたすらレポートする異色の巻です。 ついに弦斎のやる気スイッチが入ったのか、わがままを通せるほど報知新聞社内での地位が上がったのか。『食道楽』のお登和嬢を思わせる饒舌で語りたおし…

村井弦斎『日の出島』「住の江の巻」 その4(最終回) 「太陽熱」

下の箇所を拾い読みしたのは2011年の7月19日でした(http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/5137889.html)。たどりつきました。 ※ 「その大発明とは何です」 雲野「それは世界に向て熱を供給するのだ。即ち石橋君の研究材料を半分借りて太陽の熱…

村井弦斎『日の出島』「住の江の巻」その3 「太陽燈」「浮世の様」

だいぶ前から予告されてましたが、ついに石橋学士の太陽燈が完成しました。お富嬢率いる関東発明会の資金援助のもと、商品化に入ります。(近デジ117/177) 十銭出せば一年も二年も壊れることはなく、一夜付け通しても費用は三厘にもならない すぐれ…

村井弦斎『日の出島』「住の江の巻」その2 雲岳女史の婚礼演説

実は地方旧家のお嬢様だった雲岳女史。お富嬢のフォローもあってどうにか縁談がまとまったのですが、無事に終わるはずもありませんでした。婚礼の席で「さて諸君」と演説を始めます。 「新家族の帝王たるものは何である、疑もなくその家の花嫁である」 銀河…

村井弦斎『食道楽』(1903)中のチョコレート

『日の出島 住の江の巻』(1898)から5年後の『食道楽』で、チョコレートはどう扱われているか。気になって岩波文庫巻末の索引を引いてみました。 下巻に4か所ほどあるチョコレート菓子の料理法は、いずれも「削ったチョコレートを牛乳(または水)で…

村井弦斎『日の出島』「住の江の巻」その1 チョコレートを食べる雲岳女史

ちょっとロールズで疲れたので、やわらかめの話にします。 ついに結婚話が持ち上がり、故郷の静岡県に帰った雲岳女史。旅館で西洋通ぶって「チーは要らん。カツフヰーとミルクとシユガァーを貰い度(た)い」と注文したところ、出てきたのはチョコレートでし…

ロールズ『正義論 改訂版』(紀伊国屋書店 2010 原著1999)その3

私はこの『正義論 改訂版』全編を通読したわけではありません。 しかし、戦争に関するロールズの意見はほぼこの第六章、とりわけ第58節「良心的拒否の正当化」で尽くされているように思われます。 ※ もし戦争の達成目標がじゅうぶんに疑わしいものであり、…

ロールズ『正義論 改訂版』(紀伊国屋書店 2010 原著1999)その2

第六章「義務と責務」の第56節「良心的拒否の定義」より要約してみます。 ※ (「良心的拒否」の例として)軍務に就くことを渋る平和主義者のケースや、下された命令は戦争に適用される道徳法則に明白に反するという考えからその命令に従うことを嫌う兵士の…

ロールズ『正義論 改訂版』(紀伊国屋書店 2010 原著1999)その1

どうも村井弦斎について書く気分になれないので、ちょっと逃避してみることにします。 まず、訳者あとがきより、著者ロールズの人となりを。 ジョン・ボードリー・ロールズ(1921~2002)。プリンストン大学での卒論は「罪と信仰の意味についての簡…

『清須会議』

織田家の本拠地が清須(清州)城だった時代と安土城時代では、家臣の総数も大幅に違うわけです。 で、三人相部屋に入れられた佐々成政らしき武将が、清須城の狭さをぼやくシーンがありまして。そういう、「重大な事件がやたら狭い空間で頻発することによるド…

『清須会議』(予告)

JRの駅名は確か「清州」でしたが、こういう題の映画なので。 秀吉が三法師ぎみ(信長の直系の孫)をだっこして柴田勝家らを一喝する話、のはずなのですが、公式サイトによるとこの映画では秀吉は信雄(次男)と提携しているようです。三谷幸喜監督の手腕に…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その6(最終回) 「竹の産物」

わけあって静岡県興津を旅するお富嬢は、汽車の踏切に飛び込もうとした自殺志願者を助けます。そこで聞かされたのは、発明の世紀の暗い一面でした。 ※ 「此の静岡県は竹細工の名所で今では竹製の帽子などを外国へも輸出致します。 (略。竹の新たな利用法と…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その5 太陽エネルギー

「僕はエネルギーの事を研究して居るよ、エネルギーの事は随分面白くつて世界の万象一としてエネルギーの法則を外れる者は無いがその代り之を百事百物に就いて研究するには到底一人の力で成し得られる者で無い」 (近代デジタルライブラリー 『日の出島』「…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その4 弦斎落語「金本位」「葉煙草専売」「臥薪嘗胆」

この村井弦斎ってえ御仁は、何かといえば「文明流」に「改良」するのが大好きなお人で。そんな弦斎の改良落語、さわりの部分だけ紹介します。 ※ ・「金本位」 (金本位制の意味がわからず、世の中は金ばかりになると思い込んだ夫婦。ふきんやぞうきんを集め…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その3 「アルミニユーム」

「アルミニユームは鉄よりも非常に軽くつて鉄よりも非常に堅い鉱物だし、到る処の土中には採り尽くせぬ程ある物だから、それを鉄に代用する時代が来れば鉄の時代は変じてアルミニユームの世界となる。今日は亜米利加に一ヶ所製造所があつて専売特許で製出し…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その2 薫少年の小説「朝日丸」

下宿に押しかけてきた不良書生たちに、書きかけの小説を見つかってしまった馨少年。雲岳女史に大声で朗読されるはめになります。 南北朝時代。捕虜になった南朝の武将、本間資氏(ほんますけうじ)は、息子の朝日丸もろとも北朝の赤崎基重(あかさきもとしげ…

量子将棋

「王将に収束した駒」というルール説明の一節がツボに入りました。 一見ふつうの将棋なんですけど、よく見るとすべての駒が「?将」みたいな表記になってまして。 開始時にはすべての駒がすべての種類たりうる可能性を秘めているのですが、一手ごとに可能性…

村井弦斎『日の出島』「高砂の巻」その1 雲岳女史の小説

思えばドラえもんのジャイ子も、第一話ではしずかちゃんの引き立て役にすぎなかったわけで。「まんが家ジャイ子」あたりで自己表現に目覚め、「やあ首つりだガハハ」→「あたしには才能がないんだわ」と、準ヒロイン的存在への変貌を遂げたわけです。そして虹…

村井弦斎 『日の出島』「鶴亀の巻」その2(最終回)

「文学魔界」の後は本当に薄い内容でして、つい最後まで読んでしまいました。離婚騒ぎでもめたせいか、石橋学士の新光線は最後まで完成しないまま。 トランスジェンダーとかそっちの研究者ならば、少しは読む価値があるかもしれません。雲岳女史がそろそろ、…

村井弦斎 『日の出島』「鶴亀の巻」その1

ゆる~い下宿コントを延々と辛抱し続けて72コマ目。ようやく前にも紹介した「文学魔界」の章にたどりつきました。 ここから弦斎の同時代文学評に入るわけですが、その前にちょっと頭を切り替えておく必要がありそうです。 この時期の弦斎に、まっとうな平…