実は地方旧家のお嬢様だった雲岳女史。お富嬢のフォローもあってどうにか縁談がまとまったのですが、無事に終わるはずもありませんでした。婚礼の席で「さて諸君」と演説を始めます。
「新家族の帝王たるものは何である、疑もなくその家の花嫁である」
銀河万丈ボイスで再現されそうな名調子です。「強健なる国民」とか言ってますし。
要点は家父長制やいなかの因習への批判なんですけど、それが「強健なる国民」を生み育てるためには嫁を大事にしなければならない、といった論理で語られてしまうあたりが当時の弦斎。まあ、母性保護論争とかより前だし。
どうにか和田家の一員となった雲岳女史。本名は一体何なのでしょう。両親からも「和女(おまへ)」としか呼ばれてません。
追記 この巻の標題ですが、近代デジタルライブラリーの登録名では「住之江の巻」、中の奥付け等では「住の江の巻」となっていました。報知新聞で確認するまでは「住の江の巻」で統一します。