核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

お詫びと訂正―デカルトの三元素説について

以前にデカルトの宇宙論を紹介した時、軽率にも「四元素説」と書いてしまいましたが、デカルトが想定していたのは彼独自の「三元素説」だったようです。該当箇所をじっくり読み直した上で訂正することにします。ご迷惑をおかけしました。

江戸川乱歩 『宇宙怪人』(光文社 1953)

以前にも何回か言及した、少年探偵団シリーズの異色作です。 フランス、アメリカ、ソビエト、イギリス、中共と世界各地を騒がせた円盤が、ついに日本にも出現します。 はたして宇宙怪人の正体とは。賢明なる読者のみなさまにはもうおわかりとは思いますが、…

真っ赤なスカーフ

2199がつかない方の、『宇宙戦艦ヤマト』の挿入歌です。 かつてわが家にはヤマトのレコードがありまして、この「真っ赤なスカーフ」のほか、デスラー総統の歌「好敵手」なんかもよく聞いてました。 『宇宙戦艦ヤマト』という作品の魅力は「悲愴感」「心…

原因療法としての平和主義―松元雅和『平和主義とは何か』より

つねづね考えていたことを、私よりも的確に表現してくださったという感じなので、松元氏の著作の終章から引用させていただきます。 ※ 国際紛争を病状の一種として捉えると、平和主義者が提案する処方箋は、対症療法というよりも原因療法に近い。勢力均衡や集…

長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(幻冬舎 2011)

著者は1984年生まれ。浦和レッズを経て2010年南アフリカ・ワールドカップでゲームキャプテンをつとめたサッカー選手です。 「過度な自意識は必要ない。」「マイナス発言は自分を後退させる。」「お酒のチカラを利用しない。」章題だけだとありふれて…

田河水泡 「のらくろ二等卒」(『少年倶楽部』1931(昭和6)年1月号)

『のらくろ』という作品を、戦争礼讃か反戦か、という二分法で割り切るつもりはありません。この第一話にしても、単純に軍隊を美化した話ではないのです。 どちらかというと、動物に魂はあるかという、デカルト的な問題に関わるような。「のらくろ」という作…

日清のどん兵衛かき揚げうどん特盛

少し遠くのコンビニに行ったらありました。 イメージしていた「たぬきうどん」とは少し違うものの、かき揚げの食感がいい感じです。つくづく、インスタントめんとは偉大な発明です。

定九郎の印籠持

「絶対的非戦論」を訴えた明治の作家、木下尚江が日露戦争下に連載した小説『良人の自白』に出てくる言葉です。赤十字の寄付金募集活動に対して、主人公はこうつぶやきました。 歌舞伎にはうといのですが、「定九郎」というのが強盗殺人犯の斧定九郎だとすれ…

クロスワードパズル1号

一 Ⅰ 二三Ⅱ Ⅲ タテのカギ(漢数字) 一 三匹。侍でも斬るでもなく。 二 贅沢貧乏ではない方。フジ隊員でもない方。 三 それ○○○物体を発見。それだとは限らない。 ヨコのカギ(ローマ数字) Ⅰ ユーカリさえあれば。 Ⅱ 剣に生きるのが武士なら、ペンに生きるの…

クロスワードパズル

解くのではなく、作る方を始めてみました。 3×3の小品でも、結構苦労するものです。もし大作ができましたらお目にかけるかもしれません。

田河水泡『凸凹黒兵衛』(『婦人倶楽部』1938(昭和13)年12月号)

正確な表記は ワグンマキヅツ 衛兵黒凹凸 となります。「衛兵黒凹凸」には一文字ずつ縦に「ヱ」「ベ」「クロ」とフリガナあり。 (2013・5・21追記 「ボコ」と「デコ」にもふりがなあり。また最後のコマの「和平」は、右から「平和」と読むのが正しい…

田河水泡『凸凹黒兵衛』(予告)

ふと思い立って調査旅行に行ってきました。三日間のごぶさたをお詫びします。 今回の調査項目の一つに、昭和初期の『婦人倶楽部』があったのですが、同誌連載の『凸凹黒兵衛』が面白くて面白くて。 キャラデザインこそ『のらくろ』に及びませんが、こちらも…

『明治の平和主義小説』、電子化されました。

http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/handle/2237/17966 上記アドレスの「view/open」で全文が読めます。 お急ぎの方は末尾の「結論」からお読みください。暴力の政治を越える、「政治的柔術」「道徳的柔術」について、ランドルとシャープを参照して論じてお…

決闘による戦争回避の提案その2―映画『西部戦線異状なし』

私はこの映画を観ていないので、松元雅和氏の『平和主義とは何か』(中公新書 2013)から孫引きさせていただきます。第一次大戦中のドイツ軍兵士のセリフです。 ※ 「こうすりゃいい。大戦争が起こったら野っ原に囲いを作って、そこに王様を全部集合させ…

当時者同士の決闘による戦争回避の例―ホメロス『イリアス』より

君主、あるいは最高責任者同士が決闘でかたをつけてくれれば、犠牲者は少なくて済むのでは。そういう思想は、少なくとも古代ギリシア時代には存在しました。 アカイア勢とトロイエ勢の戦争を描いた、ホメロスの叙事詩イリアス。まずテルシテスという一兵卒が…

エラスムス 『対話集』 その2

1528年版の『対話集』に収録された「カロン」より。なお、前回の「魚食い」は1526年版とのことです。 「地球上の三人の大君主が憎み合って(訳注によればフランス王フランソワ一世、ドイツ皇帝兼スペイン王カール五世、イギリス王ヘンリー八世の三人…

[エラスムス 『対話集』(『世界の名著 17 エラスムス トマス・モア』中央公論社 1969 より)

『痴愚神礼讃』よりも『対話集』の方が面白そうなので、こちらから先に読んでみました。以下、これはと思った箇所を引用。 ※ 肉屋 せんだっての話だがね。ばかでかい画布に描いた世界全図を見たんだ。それでおれもはた(傍点)と悟ったねえ、誠心誠意こめて…

『世界の名著 17 エラスムス トマス・モア』(中央公論社 1969) 予告

エラスムスの『平和の訴え』は岩波文庫にあるそうですが、近所の図書館や書店にはなかったので、ひとまず『痴愚神礼賛』『対話集』を収めたこの本を借りてきました。 明日は休日なので、モアの『ユートピア』もろとも一気読みしてみるつもりです。

エラスムス「戰爭は体験しない者にこそ快し」 その2

以前に1508年刊と書いてしまいましたが、二宮敬氏の注をよく読むと、最終的に現在読める「戦争は体験しない者にこそ快し」が成立したのは1536年だそうです。 早とちりをお詫びします。いずれにせよ、時代を大幅に先取りした論です。特に以下の一節。…

『平家物語』中の戦争批判

※ 去んぬる治承、養和の頃よりして、諸国七道の人民百姓等(日本全国の人民。脚注より)、或は平家の為に悩まされ、或は源氏の為に亡ぼさる。家竈を捨てて山林に交り、春は東作(耕作。脚注より)の思いを忘れ、秋は西收(収穫。脚注より)の営みにも及ばず…