核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

長谷部誠 『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』(幻冬舎 2011)

 著者は1984年生まれ。浦和レッズを経て2010年南アフリカ・ワールドカップでゲームキャプテンをつとめたサッカー選手です。
 「過度な自意識は必要ない。」「マイナス発言は自分を後退させる。」「お酒のチカラを利用しない。」章題だけだとありふれているように聞こえるかもしれませんが、若くして結果を出して来た方の言葉には重みがあります。プラトンのいう「気概」のある人の生きた実例を見た思いです。
 愛読書はプラトンではなく、『超訳 ニーチェの言葉』とのことです(119ページ)。日本文学研究者として興味深いのは、太宰治の『人間失格』について書いた以下の一節。
 
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 自分にとって反面教師的な意味ですごく好きな作品だ。(略)自分に「逃げるな!」と言い聞かせる意味でこの本も繰り返し読むようにしている。
 (123ページ)
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 本当に、太宰治を誠実に読んでいるという印象を受けます。
 武田邦彦『偽善エコロジー』を評価しているとか、私とは意見が合わないところもありますけど、些細なことです。同書については別の機会に。
 文学研究者なんてのは監督もコーチもいないので、なまけだすといくらでもなまけてしまうものです。長谷部選手のおかげで、少しは仕事をする気が出てきました。
 
 (2014・7・1追記 ワールドカップは残念な結果でしたが、私の長谷部選手への敬意は変わりません)