どちらかというと、動物に魂はあるかという、デカルト的な問題に関わるような。「のらくろ」という作品は、犬の軍隊が存在する(つまり、犬には魂がある)という大前提で成り立っているわけですが、では犬以外の動物の魂はどうなるのか。
まず一コマ目。「猛犬聯隊 のらくろ二等卒 田河水泡」と三行にたて書きされた題字の横に、二等卒(黒地に星一つ)の階級章の首輪をつけたのらくろの敬礼姿。やせたロバのような見た目で、基本的に四足歩行。後のふくよかなのらくろとは別物の感があります。
「私は、のら犬の黒、つまり、のらくろといふ者です。兵隊になって大いに活動したいのです」
そして炊事当番になりますが、
「さかなだって生きものだ、おめおめ食はれてたまるものか」
とおかずに抵抗され、逃げられてしまいます。「せめて一匹食ひたかった」との発言があるので、のらくろがわざと逃がしたのではありません。
「よろしい 今日からお前を二等卒にしてやる のらくろ二等卒である」
とのブル聯隊長のお言葉で終わり。
軍隊批判とかいう以前に、痛ましさを感じさせる作品です。