核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

核兵器および通常兵器のない来年のために

2011年2月より開始しました当ブログ。 「気長にやりましょう」を合言葉にしていたのですが、気長すぎたようです。廃絶のきざしすら見えていません。理論面では充実した一年だったのですけど。 来年3月までに博士論文を提出し、「暴力によらずして暴力…

エバン三世

ボクの名は碇シンジ。かの名高き司令碇ゲンドウの息子だ。 世界中の使徒がボクに血まなこ、ところがこれがやられないんだ。 さ~て、今回のお宝は、と。 「あんたバカぁ?シンジ。セントラルドグマからロンギヌスの槍をいただこうなんて正気?」 アスカ・ラ…

ジャンルに上下なし。作品に上下あり。

二日間も休んでしまったことをお詫びします。大きな文字では書けないのですが、テレビゲームに没頭しておりまして。 いや、私はテレビゲームというジャンルを、たとえば映画よりも下に見ているわけではありません。すぐれたゲームは、ヌーベルバーグ映画なん…

柄谷行人 『「世界史の構造」を読む』 インスクリプト 2011

学部・修士時代の私は、柄谷行人の『探究』シリーズの愛読者でした。たしか私が修士論文を書いてるさなかに、『可能なるコミュニズム』なんて、今まで積み重ねてきた仕事を台無しにするような本を出してくれまして、おかげで私は柄谷どころか学問そのものに…

夏目漱石の限界。

前にも書きましたが、私は卒業論文で『夢十夜』を、修士論文で『明暗』を、博士課程入学試験論文で『坑夫』を扱ってきました。その私がなぜ漱石に見切りをつけたか、手短かに実例をあげて説明します。 ※ どうしても腕力でなくっちゃ駄目だ。成程世界に戦争は…

ラッセル 「なぜ私はキリスト教徒でないか」 その2

ああ、なんてクリスマスにふさわしい話題なんだ。 図書館に可及的速やかに返さねばならない本なので、後半は手短にまとめます。 一般にキリストと呼ばれるナザレ人イエス。この人物が信者の言うほど賢明で善良であったかどうか。 福音書における彼の言行は、…

差別と笑い

差別を生み出す原因の一つに、安直な方法で笑いを取りたがる傾向、というのがあります。 時の政権担当者。そろそろ飽きられだした有名人。評判の悪い国出身の在留外国人。そうした、叩けば確実に世間が同調する対象を「ネタ」にすれば、どんなに拙劣なジョー…

自我の共存をめざす文学

夢の中で論文の続きを書いていたら、「自我の主張ではなく、自我たちの共存をめざす文学」という一節を思いつき、はっと目が覚めました。 夢での思いつきが実際に役に立った例はほとんどないのですが、これは例外かと。「平和主義小説」の最も簡潔な定義とい…

ラッセル 「なぜ私はキリスト教徒ではないか」(1927) その1

アリストテレスに始まり、トマス・アクィナスら中世のスコラ哲学者が丸ぱくりしてきた、「第一原因」による神の存在証明という議論があります。すべての物事には原因があり、その原因をさかのぼっていくと、すべての原因の根源にゆきつくはずだ、という説で…

バートランド・ラッセル 『社会活動の諸原理』(1916)「第三章 制度としての戦争」 その2

最近かぜ気味で休みがちになってしまったことをお詫びします。核兵器および通常兵器の廃絶をめざすための研究活動は休まず続けているのですけど、どうも頭が働かなくて。 ずっと前から私を悩ませてきた問題の一つに、「どこまでが通常兵器に入るのか?」とい…

「コインの散歩道」

通貨の歴史を扱ったサイト「コインの散歩道」様(http://homepage3.nifty.com/~sirakawa/Coin/index.html)より、アリストパネス時代の「古代アテネの市民生活」をくわしく検証したページを紹介させていただきます。 http://homepage3.nifty.com/~sirakawa/C…

THE VERY BEST OF BOSSA NOVA

ベスト・オブ・ボサノバ。「いそしぎ」(THE SHADOW OF YOUR SMILE)が一曲目に収録されているこのCDを借りてきて、えらいことに気がつきました。歌詞カードより。 ※ 1965年のアメリカ映画「いそしぎ」の主題歌で、ポール・フランシス・ウエブスター(…

古代ギリシアの貨幣制度

おなじみ『ギリシア喜劇全集1』(岩波書店 2008)の資料18ページから要約します。 1オボロスが最小単位。1日の最低賃金が2オボロス。民会・裁判出席の日当が3オボロス。 1ドラクメー=6オボロス。1家が2、3日生活できた。 1ムナー=100…

アリストパネース 『鳥』(紀元前414年)

平和・民主・女権を訴える古代ギリシアの喜劇作家アリストパネースが、ついに動物の権利問題にふみこんだ問題作。腐敗したアテーナイに嫌気がさした二人の旅人が、鳥たちの国にたどり着きます。 人間だとばれて八つ裂きにされそうになった二人は、必死に鳥た…

バートランド・ラッセル『社会改造の諸原理』(1916)より「制度としての戦争」

手放しで礼賛できる人ではない。それはわかっています。ただ、欠点(第二次世界大戦時にはドイツへの戦争に賛成してたとか)は認めつつも、20世紀の哲学者の中では、私がポパーの次に尊敬する人物であり、その平和論には聞くべきものがあると思っています…

木下尚江の徳川慶喜論

明治のもう一人の平和主義小説家、木下尚江も徳川慶喜が内乱を回避しようとしたことを高く評価していました。 ※ 日本の歴史は多く誤り多し、殊に王政維新史に於て然りとす、予は之に於て一豪傑を見る、そは西郷南洲にあらず、大久保甲東にあらず、木戸松菊に…

福地桜痴 『幕府衰亡論』(1892)

『明治維新論』ではなく、『幕府衰亡論』であることにご注目ください。鳥羽伏見の戦いの直後、最後の将軍徳川慶喜に大阪城に置いてけぼりにされた、一幕臣の視点からの幕末史です。 ※ 幕府の士大夫中には仏国(引用者注 ナポレオン三世治下のフランス)の応…

矢野龍渓のソ連批判

日本の初期社会主義を代表するとされる矢野龍渓ですが、マルクス・レーニン主義を認めてはいませんでした。ロシア革命から間もない1920年。 ※ 今の儘で進むならば、ソヴエート政府は必ず崩壊するであらう。(略)生産部面が劣悪である結果、幾何もなく生…

大沢誉志幸 「そして僕は途方にくれる」

これ自体も名曲なのですが、↓のCMに強烈な印象が残っています。 http://www.youtube.com/watch?v=cVETL_vzGCU&feature=related 私の生涯にわたる嗜好が、これで二つほど決定された気が。

待っていたメールは届いた、が・・・

博士論文、12月に提出できるものとばかり思ってたんですけど・・・ ※ ご照会の件について、下記のとおり回答します。 1、博士論文提出の手続き(郵送可かどうか、提出先など) 論文の提出は郵送でも受け付け可能ですが、必要書類に不備や不足がある 場合…

ドラゴンを倒すのではなく・・・

暴力による解決がさらなる暴力の連鎖をもたらす、という例に、人類の歴史は満ちています。たとえば、ハンナ・アレントは共産主義者から転向した保守主義者についてこう述べています(「エクス・コミュニスト」 1953)。 ※ 彼らは、共産主義と戦うために…

萌え絵で読む虚航船団 文具船乗組員リスト

以前紹介した、「萌え絵で読む虚航船団」様に、ついに登場人物一覧がつきました。 http://www.geocities.jp/kasuga399/ffcrewlist.html 原作では名前しか出てこない文具もけっこう多かったのですが、そんなカブラペン・比例コンパス・羽箒あたりもきっちり顔…

明治の平和主義小説ハイライト

そもそも、「明治の平和主義小説」なんてジャンルがほんとに存在したのか。 そんな疑問に答えるべく、さわりの部分を引用してみます。 ※ 「戦争 (いくさ)の一度二度の勝敗 ( かちまけ )は人類の智識上に大関係あるものにあらす、植物志中にて古人未発見 ( み…

自動悪役作成ツール 「ワルキメデス」

まだ仕事が残ってるのに、ファンタジースイッチがはいっちゃいまして。アレントがドラゴンとか言い出すから。 6面体サイコロを二回ふるだけで、悪役の性格・名前・セリフが決められます。野望なゴブリンや下品な魔王もまた一興。 1、傲慢 プライド スペル…

アリストパネース 『蛙』(紀元前405年上演) 歌の場面Ⅲ~エクソドス

まだ蛙トーク続けるの!?今回で最後です。まず前回名前が出てきた、乱世の梟雄アルキビアデスのこの時期の動向について、手短に説明します。 当代屈指の英雄でありながら、部下の敗戦の責任を負わされて失脚し、彼は人生二度目の亡命の日々を送っていました…

アリストパネース 『蛙』(紀元前405年上演) エピソードⅢ

そろそろマンネリ気味ですが(アリストパネースがじゃなく私の紹介が)、ようやく重厚なるアイスキュロスと軽妙なるエウリーピデースの、スーパー古典派バトルが始まります。 古代アテナイの三大悲劇詩人は西洋でもあまり読まれていないらしく、19世紀ドイ…