古代アテナイの三大悲劇詩人は西洋でもあまり読まれていないらしく、19世紀ドイツではシラーとラウパハ、20世紀アメリカではシェイクスピアとショーに置き換えた翻案が上演されたと解説にあります。日本ならさしずめ紫式部と夏目漱石の対談といったところでしょうか(紙幣つながり。フランスならルノワールとセザンヌかw)。日本語訳で読む限界は承知の上で、この人類最古の文芸座談会を要約してみます。
エウリーピデースが指摘したアイスキュロスの欠点
・オープニングの主題歌がやたら長い。なかなか劇が始まらない。
・意味不明の語句が多い。褐色の馬鶏とはどんな鳥だ。
・冗長で重複が多い。なんで二回言うねん。
・魅力的な女性を描けなかった。
アイスキュロスが指摘したエウリーピデースの欠点
・作者の死後、一度も再上演されなかった。しょせん際物。
・母親が野菜売りだった。
・奴隷も主人も、夫も妻も対等に話す。アイスキュロスに言わせれば死刑もの。
・不倫や近親相姦ネタがやたら多い。
だいたい次の一節に集約されるかと。
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エウリーピデース でも、わたしが書いたパイドラーの話(不倫)はじっさい世の中にあることではないのか?
アイスキュロス たしかに、あることだ。しかし詩人たる者は、悪いことは隠さねばならない。
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・・・司会者のディオニューソスは本来エウリーピデースを復活させるために冥界に来たのですが、どちらを選ぶか迷ったあげく、「よい忠告を市にしてくれそうなほうを連れて行きたい」と宣言します。
「アルキビアデースについてお前たちはそれぞれどう考えるか?」。急になまなましい時事ネタになってきました。乱世の姦雄アルキビアデスについてはまたいずれ。