核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大澤信亮『小林秀雄』(『新潮』二〇二〇年二月)

いよいよ、小林秀雄の戦争責任についての発言「反省なぞしない」や、小林秀雄全集の改竄ぶりについての記述に入りました。 この大澤信亮という方は小林秀雄賞の(訂正 小林秀雄賞ではなく新潮新人賞でした)審査委員もやってまして、「半端な覚悟ならやめて…

兵備の平和、真正の平和

一八八四(明治一七)年、福地桜痴はこう喝破しました。 「欧州今日の平和は真正の平和に非ず兵備の平和なるのみ」 彼の平和主義史における意義は、軍事力の均衡によって生じる「兵備の平和」と、軍事力によらない「真正の平和」を区別したことにある、と思…

『新潮』二〇一九年九月「特集 江藤淳 没後二〇年」 

平山周吉『江藤淳は甦える』に言及した評論、福田和也「妖刀の行方」より。 ※ 死後、江藤さんが自分の誕生日を一年偽っていたことが判明した。平山氏はそれを病気が理由で小学校の課程に七年をかけた恥を隠すためだったとし、さらに敬愛する祖父を偉大な存在…

御厨貴編著『天皇の近代―明治150年・平成30年』千倉書房 二〇一八 その2

「第9章 戦中期の天皇裕仁と皇太后節子」(原武史)より。 皇太后節子が軍人たちに強い影響力を持ったのみならず、太平洋戦争の末期である一九四五年六月~八月にまで昭和「天皇を上回る権力を保った」(二八三ページ)という、衝撃的な内容です。政府が終…

御厨貴編著『天皇の近代―明治150年・平成30年』千倉書房 二〇一八

目次に「福地桜痴」とあったので、つい図書館で借りてきました。 「第3章 福地桜痴と「尊号一件」の百年」(河野有理)。 ややこしい話なのですが、要するに江戸時代のある事件を、福地が一八八四(明治一七)年に皇室寄りに語り直したという話らしいです。…

江藤淳「”フォニイ”考」(『文学界』一九七四年六月)

「フォニイ」とは「リアル」の反対語で、「空っぽでみせかけだけの。インチキの、もっともらしい」という意味だと、江藤はウェブスターの辞書を引用しています。 そして辻邦夫、加賀乙彦、小川国夫、丸谷才一らの近作を「フォニイ」と江藤は断じています。 …

今日の更新はお休みします。

江藤淳のことでも書こうと思ったのですが、どうも考えがまとまらなくて。

腰痛回復。

痛みはすっかりなくなりましたが、負担はかけないようにします。 明日はTRPG日。久し振りにプレイヤーとしての参加になりそうです。

小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』 その2

重要な指摘が見つかりました。 ※ 核抑止力のおかげで、第二次大戦後、米ソ戦争は起こらなかったので、核廃絶されて、通常兵器による戦争が多発してもいいのか、という疑問が私にはある。これへの有効な反論は聞いたことがない。 (359ページ) ※ ……有効な…

小谷野敦『江藤淳と大江健三郎』 その1 

新刊当時から気になってはいたのですが、このたび文庫新品で入手できました。 豊富な情報量。江藤淳で論文を書くかは別として勉強になりそうです。

江藤淳「『氏神と氏子』の原型―占領軍の検閲と柳田国男」より

柳田国男がいかに占領軍に阿諛・迎合して、自らの神道関係の文章を書き換え、その書き換えが『定本 柳田国男全集』にまで受け継がれているかを、江藤淳は緻密に分析しています。その書き換えはあまりにも大量なので、一々引用することはしません。江藤淳『落…

村井弦斎復活。

熟慮の末、「どのように戦争を止めるか」論に村井弦斎で一節を割くことにしました。国際関係を問題にした武者小路実篤の節と、階級闘争を問題にする黒島伝治との間に入れる予定です。 前二者と比べての弦斎平和論の特色は、近代文明のあり方そのものを問題に…

江藤淳「文反古と分別ざかり」(一九七九)

『落葉の掃き寄せ 一九四六年憲法 その拘束』(文藝春秋 一九八八)より。 六〇年安保と、その当時の大江健三郎を批判する文脈の中で。 ※ あの当時も、いまも、私が政治の公理を、「やつは敵だ。敵は殺せ」という箴言に要約されるものとは考えていないという…

少し復調。

正確には腰の左側だけ痛みが薄れました。まだ起居座臥には支障があります。 明日は江藤淳の「敵」論でも書こうと思います。

社会主義幻想との決別を

腰のことばかり書いても仕方がないので、「どのように戦争を止めるか」論の構想の一部を。むしろ、「なぜ敗戦前に戦争を止められなかったか」について。 マルクス主義・プロレタリア文学系の反戦文学論が、「自分たちの側の戦争はよい戦争」論に陥り、結果と…

波状攻撃。

江藤淳とか福地桜痴の話を書きたいのはやまやまですが。 断続的に、「ぎゃお」という感じの痛みと、「むぎゃお」級の腰痛が襲ってきまして、読書に集中することもできません。湿布貼っといたので、朝にはよくなっている……と思いたいところです。

腰痛悪化。

五分おきぐらいにじわっと鈍痛が襲ってきます。 今日は早めに寝て、体を休めることにします。

ジュンク堂、名古屋店閉店とのこと。

マナハウスほどではないにせよ、名古屋時代にはジュンク堂にもお世話になりました。吾妻ひでお『失踪日記』が平積みになっていて、買おうかどうかさんざん迷ったあげく、立ち読みですませてしまった、といった思い出は無数にあります。悔やまれるところです。…

連投。

CINIIで小川未明を検索し、読める論文をかたっぱしから読んでみました。 「野ばら」執筆時の未明はアナキストというよりマルクス主義者だったそうで、レーニンを賛美する文章も書いています。 敵・味方という思想を否定する「野ばら」と、マルクス主義…

とはいえ、論文も書き進めます。

せっかくの連休でもあるし。現在は壁にぶちあたっていますが。 第一の壁は与謝野晶子。反戦小説ではなく反戦文学全般を題材にするなら欠くことのできない対象ですが、どうにも困っています。評価していいものかどうか。 第二の壁はプロレタリア文学系の反戦…

今日はTRPG日、のはずが

時間とスペースとメンバーさんの都合が全部そろうことはなかなかないものでして。 週末はさびしくソロアドベンチャー(一人用)でも。

小林秀雄に学ぶ塾 同人誌 好*信*楽

ネット上で読める、小林秀雄についての論や感想を集めた同人誌を、ある方から教えていただきました。 私とは露骨に違うスタンスではありますが……。

「小林秀雄と江藤淳」 『文藝春秋』2019年12月

「小林秀雄と江藤淳」と題する雑文が掲載されていましたが、たいした内容ではありませんでした。典型的な崇拝者の文章です。

「小さな王国」論、改稿完了。

前回の査読で指摘された問題点は解消できたと思いますが、できればさらにその先をめざしたかったものです。まあ、これでよしとしましょう。

決めた。

谷崎潤一郎「小さな王国」論を徹底的にチューニングして投稿しようと思います。 「どのように戦争を止めるか」論は、勢いをつけてからということで。

決断すべき時。

そんなに深刻な話でもありませんが。このまま「どのように戦争を止めるか」論を書き続けるか、一時凍結して他の論文に移るか、今日中に決めようと思います。 「どのように……」論に盛り込めるかはわかりませんが、戦争阻止について最近思うことがありまして。…

湾岸ミッドナイト

深夜の湾岸道路。今夜も走り屋たちの前に、悪魔のZと呼ばれるマシンが現れる……。 という、劇画を原作にしたゲームを入手しまして。免許すら持っていないので、まともに走ることすらおぼつかないですが、雰囲気は気に入りました。機会があれば原作も読んでみ…

江藤淳『文芸時評』『続 文芸時評』

二冊まとめて図書館から借りてきました。 対象となっている小説は読んでないものが大半ですが、それはそれとして。 目的は批評の批評、つまり江藤淳自身を知ることです。彼が文学に対していかなる理想・規範を持ち、それをいかに実践していたか。

大澤信亮「小林秀雄」(『新潮』)第二部再開。

小林秀雄の評伝の戦後編です。『高見順日記』の記述によれば、敗戦直後の林房雄と小林秀雄は二人とも酔っていたとのこと。 開戦前は、「米国と戦争をしても大丈夫かネ」「大丈夫さ」なんて言い合ってた癖に。いい気なものです。

さしあたっての計画

去年から書いている論文はなかなか進まないので、ちょっとだけ凍結して次の企画を考えようと思います。今一番関心があるのは江藤淳とWGIP関連ですが、戦後は文学史も政治史もうといので、調べものに時間がかかりそうです。