核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

平和主義文学理論についての素描

素描段階とはいえ、いつか単著を出すときまでにはかたをつけねばならない問題です。博士論文では統一的な方法論を打ち出すには至らなかったので。 私が想定している平和主義文学理論とは、戦争を美化しているから×、戦争に反対しているから〇といったような…

いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』(講談社 二〇〇二)のアルチュセール観

『現代思想の冒険者たち』という入門書シリーズに、いしいひさいちの4コマまんががはさみこまれてまして。その4コマだけを集めた上、書き下ろし作多数を加えて、一冊で現代思想のアウトラインがわかるようにしたのがこの本です。 辛辣さは『文学部唯野教授…

一四〇〇〇字の壁

小学生のころは四〇〇字の作文さえ満足に書けなかったものですが。 今書いている論文は、一四〇〇〇字以内という制限と、書き込むべき内容との間で苦闘しています。一三九〇〇字前後をいったりきたり。

筒井康隆『朝のガスパール』(『朝日新聞』連載 一九九一)

ヒット曲に便乗して『パプリカ』紹介も考えたのですが、本が手元になくて。『パプリカ』と同時期に連載された『朝のガスパール』の雑感を。 読者からの投稿、パソコン通信(インターネットの前身ですね)からの書き込みによって、新聞連載小説の筋が変化する…

フレドリック・ブラウン「ミミズ天使」(『天使と宇宙船』原著一九四三)

今にして思えば、『残像に口紅を』のご先祖というべきSF短編。 古典的名作なのですが、現代日本人読者の大半には、「そんなんわかるか」な結末なのが残念です。私は昔から、この作品の完全日本語訳ができないものかと考えています。 小道具をキーボードか…

筒井康隆『残像に口紅を』(一九八九)

ローマ字入力なのを利用して、「このブログから「あ列」を引けば」とかやろうと思いましたが無理でした。文庫版解説の精密な検証によればうっかりミスもあるようですが、とにかく困難な偉業です。 使える文字をひとつずつ引いていって、なおかつ読ませるスト…

筒井康隆『旅のラゴス』(徳間文庫 一九八九)

調べたらこれも一九八九年でした。徳間文庫版で読んだのでその年のはずです。 実生活はともかく、読書体験という意味では、一九八九(昭和六四=平成元)年は私にとって当たり年だったようです。 題名通り、ラゴスという男が北方大陸から南方大陸へと長い旅…

筒井康隆・絵 手塚治虫『イリヤ・ムウロメツ』(講談社文庫 一九八九)

この一九八九年という年は、星新一・筒井康隆ジョイントフェアが講談社文庫で開催されてまして。その帯のついた文庫本で買った記憶があります。大判の単行本はもっと前に出ていたそうですが、近場の本屋には文庫本しか置いてなかったので。 ロシアの古伝説の…

筒井康隆『着想の技術』(新潮文庫 一九八九)

昨日はいろいろと恥をさらしてしまいました。斉藤由貴ファンだったの、ファンタジー作家志望だったのと。そんな青春時代の私が肌身離さず持っていたのが、星新一の『できそこない博物館』と筒井康隆の『着想の技術』です。特に後者(新潮文庫版)は表紙がエ…

筒井康隆『文学部唯野教授』(一九九〇)雑感

もう三十年も前ですか。この小説で文学理論の初歩を、というよりも文学理論なるものの存在を知ったという方も多いようです。私もその一人です。 私は筒井ファンですが、この小説だけは初読時からどうも好きになれないです。第一に斉藤由貴(同書では斎籐由貴…

ヘイドン・ホワイト『メタヒストリー』(予告)

『社会文学』51号にも広告が載ってたのですが、6000円超え。 ちょっと手を出せないので、要所だけ国会図書館で読みに行こうと思います。 五月下旬ごろにコロナウイルスが鎮静化していれば、の話ですが。 もちろん、ホワイトに批判的だというギンズブル…

セガサターン用ソフト『ギレンの野望』

手放して後悔しているゲームその2。今では入手すら困難と思われます。 名作『ギレンの野望』シリーズの第一弾。にして完成形。 第一作ならではの細かい欠点(世界地図の大西洋がまん中で切れてるとか)もありましたが些細なことです。『大航海時代』ではな…

この論文が終わったら方法論するんだ……

なんか死亡(ボツ?)フラグのようですが、今手がけている論文が片付いたら、かねてから複数の方から批判のあった方法論まわりを勉強しなおそうと思います。 作品かテクストか。作者は死んだのか。読者とは何か。そういった初歩的なことをはっきりさせないと…

言語論的転回以前にとどまる決意。

十二三年前でしたか、院生時代の歴史学系の発表で、「菅原くんは実証主義者だからね~」と、ある先生に仰せられたことがありました。私はいかにも自分が時代おくれというか、大都会に迷い込んだ素朴ないなかもののような疎外感にとらわれたのを覚えています…

『水滸後伝』

すいここうでん。前に扱ったような気がしてたのですが、ブログ内検索しても出てこなかったので書くことにします。 名作『水滸伝』の続編。108星の化身たちは、百二十回本(一番長いバージョン)で地方反乱軍との戦いに回され、その3分の2ぐらいが戦死、…

PS用ソフト『水滸伝 天導108星』

以前持っていたけど手放してしまい、痛烈に後悔しています。コロナウイルス流行でろくに外出できない昨今のような時に、ゆったりと時を過ごすにはぴったりのゲームなのです。 日本ではあまり人気のない(私は大好きです)『水滸伝』を題材とした箱庭型リアル…

文学を平和のために役立てる

五七五だ。それはともかく。 文学を平和のために役立てる、というのが私の研究方針です。 それはプラグマティズム(実用主義)だとか、不純だとかいう批判はあるかもしれませんが、不純でもいいと私は思っています。文学とは人類が人類自身について考察して…

空想から嫉妬へ

マルクス以前の初期社会主義(マルクス主義者のいう空想的社会主義)というのは、建前にもせよ人道主義を看板にしており、それゆえに広まり方にも限界があったわけですが。 それに対して「科学的社会主義」を標榜するマルクス主義は、すさまじい勢いで世界に…

在宅執筆

国会図書館も近場の図書館も閉まった以上、手持ちの資料でやれるとこまでやるしかなさそうです。

かたく捜索

近代デジタルコレクションで、ふだん読まない本を読もうと思い、木下尚江の最後の小説『火宅』を探したらありませんでした。 内容はまったく覚えていないのですが、反戦要素はなかったように記憶しています。 村井弦斎の『食道楽 続編』でも読むかな。冒頭近…

イニシャルビスケットのK

当ブログの用語でイニシャルKといえば。 KAKU兵器、KAール・マルクス、KUリティアス、大江KEN三郎、KO林秀雄……批判対象ばっかだな。コロナはCか。

アミバのトップを防げるか

仮に当ブログの頻出語で五十音順事典を作るとしたら、「アミバ」のトップを防げるのは誰でしょうか。 「アンタルキダス」いきなりダメだな。 「アルキビアデス」これも惜しい。 その故郷「アテネ」ならOKか。「アテナイ」「アゼン」でも可。 追記 アテネ人…

アミバのことが偲ばれる

マルクスがらみの文献を読んでいると、どうしてもアミバを連想してしまいます。 『北斗の拳』や『ファンロード』をご存じでない方のために簡単に説明します。 『北斗の拳』は核戦争後の荒廃した時代が舞台なのですが、そんな時代にも北斗神拳を医学に応用し…

加藤尚武『20世紀の思想 マルクスからデリダまで』(PHP新書 一九九七)

ゲームばっかりやってても飽きるので、本棚から年代物の本をひっぱり出しました。 20世紀のってことは二十年以上前、と思ったら一九九七年初版でした。おそらく静岡時代に入手。 久しぶりに読んで新鮮な気分にひたれました。ということは、私もまだまだこ…

PS2用ソフト『ギレンの野望 アクシズの脅威V』

戦略シミュレーションゲームの傑作、ギレンの野望シリーズの集大成。 マルクス文献読むのも飽きたので、この機会に遊んでます。 機動戦士ガンダム(第一作)の世界を舞台にしたゲームなのですが、これのだいご味はガンダムが完成する前にありまして。 地球連…

土田杏村『マルキシズム批判』(一九三〇)を読んでみたら

外出できない時こそ「近代デジタルコレクション」。著作権切れの本が大量に読める国会図書館のサイトです。 日本語のマルクス批判文献で面白そうなのがないかと探してみたら、当ブログではややおなじみの土田杏村(つちだきょうそん。哲学者)の著書が。 さ…

レーニン「旅順港の陥落」(一九〇五)

前から気になっていたのですが、ジャーナリストの前坂俊之氏のサイトで本文が読めました。リンクさせていただきます。 http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/3376.html レーニンもロシア人なのですが、この記事では日本軍の勝利をほめたたえています。 …

日本文学協会ホームページより

まず残念なお知らせから。 「すでにご案内いたしました、今年度の研究発表大会の開催(7月12日 於:千葉大学)について協議致しました結果、中止とすることに決定いたしました」 実は私も申し込んでいたのですが、コロナウイルスの蔓延を考えればやむを得な…

『日本文学』二〇二〇年四月号より 金井景子「文学教育のひらき方―文学展「浅草文芸、戻る場所」の試み―」

『日本文学』の最新号より。私はつねづね川端康成の『浅草紅団』という小説に多大な関心を持っているのですが、文学展「浅草文芸、戻る場所」には残念ながら行きそびれました。金井論を読むことで、行った気分にさせていただきます。 浅草探訪の気分を味わわ…

上からの平和主義と、下からの平和主義

トップダウンとボトムアップ。平和実現にも大きくわけてこの二種類があると思うのです。 ここでいう上からの平和主義というのは、たとえば国連平和維持軍や、賀川豊彦らが構想した世界国家のような、諸国家より上位の主体による調停等を指します。 それに対…