核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

筒井康隆『着想の技術』(新潮文庫 一九八九)

 昨日はいろいろと恥をさらしてしまいました。斉藤由貴ファンだったの、ファンタジー作家志望だったのと。そんな青春時代の私が肌身離さず持っていたのが、星新一の『できそこない博物館』と筒井康隆の『着想の技術』です。特に後者(新潮文庫版)は表紙がエッシャー、解説が斉藤由貴。もうリアル中二病患者にはたまらない本でした。昔の私を知ってる人は、なぜあのアイドルオタが文学博士なんぞになったのか不思議に思われるかも知れませんが、その秘密はこの本にあります。

 ボツにした小説のメモを通して創作技法を紹介する『できそこない博物館』に比べると、『着想の技術』ははるかに理論的で難解な本でした。ここからユングだのフロムだのを読みだしたものです(フロイトには結局一度もはまりませんでした)。買ったけど意味不明だった『虚人たち』も、この本のおかげで少しは読めるようになった気がしました。

 結局、創作理論にばっか詳しくなって、小説は一本も書けなかったわけですが。創造力のなさというのはどうにもしがたいものです。『虚航船団』でいうとこの赤インクみたいなものでしょうか私は。