核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

久しぶりにバスに乗りました

電車より100円ほど高いのですが、駅まで歩く気力がなく、ついぜいたくをしてしまいました。 車窓を流れる、一〇月のたそがれの景色。たまにはいいものです。

『資本主義はなぜ私たちを幸せにしないのか』という本の広告が来た

このあいだ私が奮発させられた、『日本文学』掲載のある論文に、参考文献として挙げられていた本です。そういえば、AMAZONで検索してみたような。 一応、読むつもりではありますが、代替案は示されているのでしょうか。マルクス主義の宣伝ならがっかり…

村井寛「我邦今日の急務を論す」(『東京経済雑誌』第一四八号 明治一六(西暦一八八三)年二月三日)

今度は村井弦斎が、本名の寛(ゆたか)で投稿した論文です。 これも国会図書館から取り寄せた資料です。 多事多難な明治十六年。 内政の改良、外交の修整、憲法の制定、国会の開設、海陸二軍の拡張(あ、十代の村井寛の意見ですから)、殖産興業の奨励、条約…

阿久澤麻理子『差別する人の研究―変容する部落差別と現代のレイシズム』(二〇二三年九月刊 読む予定)

なかなか興味深い本の広告が回ってきました。 私は大学院研究生時代に、文学における差別を扱った論文を書きました。 扱った作品は木下尚江『火の柱』(一九〇四)、島崎藤村『破戒』(一九〇六)、夏目漱石『坑夫』(一九〇八)の三つ。 着目点は、差別され…

伊藤野枝の生涯を描いた『風よあらしよ』が映画化されるそうです。

来年2月とのこと。 私が投稿した論文はボツになりましたが、伊藤野枝への関心は薄れていません。 久しぶりに映画館行くのもいいかな。

村井楽水「人世必要の学問を論ず」(『東京経済雑誌』一四四号 明治一五(西暦一八八二)年一二月三〇日)

先月の弦斎まつりでも話題にのぼった、弦斎が「村井楽水」という号で函館から投稿したという論文。私はだいぶ前に国会図書館所蔵資料のコピーを入手していたのですが、うかつにも忘れていました。 なお「人世」は「人生」の誤字ではなく、原文のままです。 …

今日は休みます

書くことがないわけではないのですが、少し頭を冷やそうと思います。

自文化中心主義にも、文化相対主義にも陥らないために

一九六〇年代の大江健三郎は毛沢東礼賛、抗日戦礼賛、そして核開発礼賛という、当時の価値観に忠実であったに過ぎず、それを二〇二三年という後世の価値観から頭ごなしに批判するのは自文化中心主義に陥っているのではないか、という批判もあるかも知れませ…

「そういう時代だったから」ではすまされません

1960年代の大江健三郎が、いかに賛戦・賛核・賛独裁者の人であったか、長々と引用してきました。 大江の紀行文『ヨーロッパの声・僕自身の声』は国会図書館デジタルコレクションでログインして検索すれば手軽に読めますので、もう引用はこれぐらいにしよ…

自衛隊の核武装を考えたりする大江健三郎

モスクワ訪問時の大江はかなり憂鬱な精神状態にあったらしく、訪問前に予定していた、ソ連の核実験への抗議を実行できなかったばかりか、かなり変なことを書いています。日本人の声など世界政治にとどかない、という無力感を書き連ねた後。 ※ 僕は深い無力感…

日本への戦争に同志愛を感じる大江健三郎

大江健三郎は反戦・反核の人として評価されているようですが、少なくとも、紀行文『ヨーロッパの声・僕自身の声』(一九六二(昭和三七)年)の時期には、そのどちらでもありませんでした。 ※ 僕が中国にいたとき日本ではいわゆる新安保闘争がおこなわれてい…

 1500万人~5500万人を死なせた独裁者を賛美する大江健三郎

まずは軽い序の口、大江著のプロローグから。 ※ 最初の海外旅行は一九六〇年夏の中国への旅で、北京のホテルで樺美智子さんの死についてきき、上海で毛沢東と会った。この中国の最もすぐれた二十世紀人は、悲しみにみちたおだやかな眼で、ひとりの日本の女子…

大江健三郎『ヨーロッパの声・僕自身の声』(一九六二(昭和三七)年)、熟読しました。

反体制・反核・反戦の人ということになっている大江健三郎。 読んでみないとわからないものです。 外国人相手に昭和天皇を擁護し、自衛隊の核武装を希望し、中国から帰国して日本が戦争でないことにがっかりしています。 若気のいたりじゃないかとか、西洋人…

戦争の止め方、原発の止め方、その第一歩

初歩の初歩ですが、戦争や原発を止めるためには、戦争や原発建設のさなかに、それらを美化し扇動した人間について知り、批判的に検討するのが第一歩でしょう。 2023年の常識では信じがたいことですが、戦争や原発が大好きな人間というのは存在するのです…

『桑の弓』、どうしたものか

『桑の弓』は、一応、私のライフワークである「戦争の止め方」を扱った作品ではあります。 しかしその止め方というのは、シベリアに送られた反政府派の人々を扇動して、ロシアと日本の間に独立国を作らせる、という乱暴なものでした。 どうも山県有朋の利益…

村井弦斎『桑の弓』、読み終わりました

前評判通りのスパイ小説なのですが、主人公がシベリア奥地の自由郷にたどりついたところで終わり、『後編に続く』でした。 『桑の弓』の続編は書かれていないはずなので、未完の作品です。 構成もまとまりが悪いのですが、決してつまらない作品ではありませ…

菊池寛「入れ札」にみる選挙制

菊池寛という作家はまったく尊敬していないのですが、この「入れ札」という短編は昔から気になっていました。柄谷行人の『日本精神分析』という本でも取り上げられていましたが、今回は自分なりの問題意識で扱ってみます。青空文庫より要約。 江戸時代。代官…

大江健三郎、J=P・サルトルと会う(『ヨーロッパの声・僕自身の声』毎日新聞社 1962 より)

本来は大江健三郎のインタビュー集『世界の若者たち』を読みたかったのですが、そちらは国会図書館限定で。代わりにこのヨーロッパ旅行記が、ネット上で読めました。 めあてはもちろん、核兵器関係です。1960年代の大江健三郎は、たとえば東側(共産圏。…

今日は読書日。

昨日はTRPG(『シャドウラン』第二版完結編)が盛り上がり、充実した一日でした。 とはいえ図書館には行きそびれたので、今日はたまった読みかけの本を、かたっぱしから読む一日にしようと思います。 国会図書館デジタルコレクションや青空文庫で、古典が気…

買いたい本がたまってきた。

片っ端から買っていたら、お金と本棚がいくらあっても足りないので。 まず研究用と趣味用に二分し、すぐに必要な本から優先順位をつけて、少しずつ買うことにします。 最近は古典的名著が国会図書館のデジタルコレクションで多く読めるようになったので、そ…

明日はTRPGの日

それも、『シャドウラン』第二版の最終回、○京タワー展望台でのドラゴンとの総力戦を想定しているので(プレイヤーさんの都合にも左右されますが)、研究はちょっとだけお休みとします。 とはいえ、『シャドウラン』第二版の舞台は西暦2050年のサイバー…

佐藤泉「生きさせる権力と殺す権力の配分―伊藤計劃『ハーモニー』『虐殺器官』―」(『日本文学』2023年10月号) その1

私はこの論文に奮発させられました。 「啓発させられました」のほうがていねいな表現かも知れませんが、同論文から受けた感想には、いくぶん「憤激」「憤慨」要素も混ざっており(つまり、いくらかは不満なのです。佐藤氏や伊藤計劃作品に対してかは別として…

『日本文学』2023年10月号、特集「〈生〉と〈死〉の文学」届きました

いつもにまして、今回は読み応えがありそうです。

酒井萌絵「書評 闘技民主主義は持続可能か : Fuat Gursozlu, Agonistic Democracy and Political Practice : Ways of Being Adversarialを読む」

『名古屋大学法政論集』298 191-204, 2023-06-25。 CiNiiで読めました。 私は以前シャンタル・ムフという政治思想家の「闘技民主主義」に入れ込んでいながら、最近はなまけていました。ムフに限界を感じたわけではなく、主に当方の英語力の欠如が原因です。…

「村井などは二三地方の新聞を受持つて書いて居るが」

以前に書いた記事の再録です。 原抱一庵 「吾の昔」 - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com) 『文藝界』1903(明治36)年7~12月。ここでの引用は、『明治文学全集26 根岸派文学集』(筑摩書房 1981(昭和56))の孫…

長山靖生編『少年小説大系 第13巻 森田思軒・村井弦斎集』(三一書房 一九九六 読む予定)

速読には自信があったはずなのですが、いまだに村井弦斎「桑の弓」を読めていません。デジタルコレクションでなく紙媒体なら読みやすいかと思い、検索してみました。 「紀文大尽」「近江聖人」「桑之弓」「風船縁」「伝書鳩」「飛乗太郎」「大福帳」 の、弦…

小谷野敦『『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内』(新潮新書 二〇〇九) その2

『こころ』の低評価には賛同できましたが、それ以外の古典の評価となると、すべて同意というわけにはいきませんでした。以下、「そこは譲れない」作品への論を。 「落ちがあるといえば、星新一などがたくさん書いた、SFの一ジャンルのように見られているシ…

小谷野敦『『こころ』は本当に名作か 正直者の名作案内』(新潮新書 二〇〇九) その1

暗いニュースが多い日々、明るい気分になれる本が見つかりました。 たとえ漱石やドストエフスキーでも、ダメならダメと判断を下す、明快な本です。 ご意見は私と合うところもあればそうでないところもありですが、主張は明白です。 まず、合うほうのご意見か…

高橋 晶子「北原白秋とアイヌ民族」『 ヘカッチ : 日本児童文学学会北海道支部機関誌』 (18) 48-33, 2023-06

私は北原白秋とアイヌ民族に、それぞれ別の理由から関心を持っていたのですが、その両方を扱った、最新のご論文が見つかりました。 また国会図書館に行くべき理由が一つふえました。

『ユリイカ』2023年11月臨時増刊号、トールキン特集!

映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作、『指輪物語』の作者であるトールキンの特集号が出るとのこと。 青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2023年11月臨時増刊号 総特集=J・R・R・トールキン (seidosha.co.jp) 長すぎるとか序盤がたるいとかの批判もある『指輪…