2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
残念なお知らせもありました。 福地の『社会百題』(一八九一)を、私は内田魯庵の『社会百面相』のような短編社会小説群だと思っていたのですが、実際は「当時の世相を斬るコラム」(二二六頁)だそうです。 さらに残念なことに、単行本『出放題』には一部…
ついに届きました。私の博士論文には言及されていないのですが、些細なことです。『仙居の夢』『女浪人』をはじめ、桜痴の膨大な社説や小説が言及されています。 未読の桜痴小説で目についたのは、『練絹新三郎』(一八九二 『武蔵鐙』一八九一を改題)。「…
今回は福地桜痴とは関係のない話です。ウィキペディアの「評論家」の項で興味深い事例を見かけたので。 ※ また、その世界の人気者として知られる特定の人物や団体を激しく攻撃・非難することで評論の世界で名を売ったり、業界内部で実権を持つ特定の人物や団…
ミネルヴァのフクロウさんが夜中になっても飛び立たないので、先に福地桜痴の小説を読んでみました。が、私が期待した意味での花札小説ではありませんでした。 私はこの小説で展開されている「八八」というルールを知らないので、そのせいもあるかも知れませ…
また読む予定の本が増えました。 内田魯庵の『社会百面相』に似た題ですが、桜痴のほうが十一年も前です。 単に各種職業や地位の人々の生態を並べただけの小説なら、珍しくもないのですが……。
福地本の到着を待つ間、「福地桜痴 小説」で検索していたら、面白そうなのを見つけました。 以下、日本かるた文化館のサイトより https://japanplayingcardmuseum.com/111-3-2-masterpiece-hanacartanovel-middlemeiji/ ※ (二)花札小説の代表作、『滑稽小…
核兵器禁止条約の英訳と、暫定的な日本語訳が読めます。日本語訳は条約の正文ではないそうで、本格的に読みたい方は英文をどうぞ。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ac_d/page23_002807.html 「加盟国が通常兵器による戦争を始めたらどうするのか」がふと…
以下、YAHOOニュースより。 ※ 核兵器禁止条約発効へ ホンジュラス批准し50カ国・地域に 「核なき世界」へ一歩 毎日新聞1297 史上初めて核兵器を全面禁止する核兵器禁止条約を批准した国・地域が24日、発効に必要な50に達した。中米ホンジュラスが新たに…
久し振りに大きな買い物ですが、それだけの価値はあると思います。
アルゼンチンでボルヘスに認められたという作家、コルタサル。 その『石蹴り遊び』は、かなり実験的な作品のようです。 私が思いつく程度の実験的手法は、とっくに試されずみかもしれません。 優先順位は幸田露伴の『風流微塵蔵』より下ですが、探してみます…
W・イーザー『行為としての読書―美的作用の理論―』より。 ※ 一八世紀小説では支配的であった主人公を頂点とするヒエラルヒーは、一九世紀になると次第に均等化の方向をたどり、「主人公のいない小説 A Novel without a Hero」といった名称が出てくるように…
近年、斎藤幸平という方をはじめとして、晩年のマルクスはエコロジストだったという趣旨の博士論文や著作が出ているようです(『マルクスとエコロジー』『大洪水の前に マルクスと惑星の新陳代謝』など)。 本当だとすれば、私のマルクス否定論も修正を余儀…
そもそも、『日本文壇史』自体がそれに近い構造なのですが。 一個人の生きざまを直線的に追っていくのではなく、個人たちの横のつながりの平面、それに時間の経過を加えた立体的な小説を読んでみたいという願望は、伊藤整のみならず私も共有しています。「梁…
伊藤整『日本文壇史 4 硯友社と一葉の時代』を読んでいたら、気になる小説が見つかりました。 ※ 無数の人物が作中に次々と登場し、(略)更にその外側の人物の生活が描かれ、その人物のまた外側の別人物が描かれて、横に横にと話の中心が移っていく構造であ…
『日本文壇史 2 新文学の開拓者たち』(講談社文芸文庫 一九九五)より。 伊藤整は、近代日本文学の、「良心の訴えと自己のエゴとの対立を社会秩序の中でいかに処理して生きるかという型」(二〇一頁)が、森鷗外「舞姫」の時期に出そろったとしています。…
といっても将棋とTRPGですけど。たまには、こういう一日もいいものです。
『佳人之奇遇』以前(一八六九)の、リベリア共和国についての記述。 福沢諭吉『世界国尽』巻二、「阿非利加」に、「「理部利屋」は、アフリカ州の国柄に、一種無類の共和制、人民およそ五十万、議事院立てて事を議し、北アメリカに流行の、自由の風を移せし…
一文字違いの『佳人の奇遇』という現代小説があると知りました。 特に文体模写やパロディというわけではなさそうですが、比較対象として一応探してはみます。コロナが落ち着いたら……。
ポーランドが滅んだ原因は「自由の誤解」にあると東海散士は見ます。 ※ 抑々彼民や自由の理を誤り、一身の自由を以て無上の自由と為し、国家独立の自由、更に貴きを悟らず。 春陽堂『明治大正文学全集 第一巻』 三六頁 ※ そして日本の使節団がポーランドを通…
久し振りに音楽の紹介を。新曲ではありませんが。 さきほど流れてきたのを聞いて「これは」と思い、調べてみたら先日亡くなられた筒美京平氏の作曲でした。つくづく偉大なお方でした。 ウィキペディアの記事では「80年代っぽい曲」とありますが、そのへん…
会津藩白虎隊の生きのこり東海散士は、世界各地をめぐり、マイノリティ活動家(女性含む)たちとの出会いと語り合いを通して、小国日本が独立を保つ道を模索するのだった。 ……文としては一行。本当に面白いのは細部なのですが、こんなもんでしょう。 後半は…
主人公の東海散士は、必ずしも平和主義に好意的ではないのですが、これもその一例。 一九世紀オーストリアの宰相、メッテルニヒ。この作品では「滅廷日苦」と書いて「メツテルニツク」とふりがながされています。彼が大国オーストリアを衰弱させたと東海散士…
「佳人之奇遇」文中にあった、「平和策」という語に考えさせられました。 私は護憲派ですが、憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」なんてのは、策がなさすぎると思うのです。地球上には平和を愛さない、公正も信義もない、信頼してはいけない…
現在のリベリア共和国は世界最貧国の一つに数えられているそうですが(ウィキペディアより)、元をただせばアメリカ合衆国の解放奴隷によって建国された国であり、アフリカの希望の星みたいに語られた時期もあったのです。 以下、『佳人之奇遇』にみる、東海…
『佳人之奇遇』は国権小説であるというのが定説で、全体のトーンは実際その通りなのですが、細部については疑ってみる必要がありそうです。「日清戦争に反対する言説はなかった」という定説も。 「天下の人心日に益激昂し、或は主戦論を新紙上に主張するもの…
やばい。『佳人之奇遇』面白い。 物語の娯楽性は『経国美談』ほどではないのですが、作中に詰め込まれた世界各国の情報量がやたら濃いのです。明治の青年読者が熱狂したのもわかります。 まだ完読はしていないのですが、とりあえず目についた平和主義言説を…
いっぱしの明治文学研究者面をしていながら、これまで東海散士の政治小説「佳人之奇遇」は読んでなかったのでした。 KAKENで面白そうな研究はないかと、思いついたキーワードをあれこれ打ち込んでいたら、同作品がイスラム圏の民族独立運動に触れている…
焦らず、好転を待ちます。
書評は書物を見ないことには書けないので、話題を変えます。 私はカリカリのピザよりもふっくらしたピザが好きで、あえて焼き時間を注意書きよりも短めにしたり、自分なりの工夫を加えています。今回はうまくいきました。
私は他の方から書評を依頼されたことが一度もなく、自分から書評を書かせてくださいと頼んだこともないのですが……。 もしかしたら、初挑戦することになるかも知れません。私がそのご著書の唯一の適任者だなどとうぬぼれているわけではもちろんないし、ボツに…