ミネルヴァのフクロウさんが夜中になっても飛び立たないので、先に福地桜痴の小説を読んでみました。が、私が期待した意味での花札小説ではありませんでした。
私はこの小説で展開されている「八八」というルールを知らないので、そのせいもあるかも知れません。
ウィキペディアで見ると、私が知ってる「こいこい」よりもかなり複雑ですが、カードゲームの本質はそんなに変わらないはずです。いい手が来ることへの期待。裏向き札への読み。競争相手との白熱する駆け引き。そういったゲームの魅力が、『花懺悔』からは感じられませんでした。
結末も、「花札のやりすぎには注意しましょう」的な、陳腐な教訓に終わっています。なぜ花札が人を熱中させ、破滅にまで導くのか。それを書けていないのでそらぞらしいだけです。
ちょっとだけ面白かったのは、レートの隠語、安い順に判任、奏任、勅任と、当時の官吏の階級をもじっているわけですが、勅任より高いレートは「皇族」。もう一つ上まで盛り上がれば、時代の枠を超えた小説になれたかもです。