核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

伊藤野枝「傲慢狭量にして不徹底なる日本婦人の公共事業について」(『青鞜』一九一五年一二月 未読)

どうやら上記の文章に、伊藤野枝による、上中流婦人の軍隊慰問への批判が載っているらしいのですが、デジタルコレクションにも『伊藤野枝集』にも青空文庫にもありませんでした。 年が明けたら、国会図書館に申し込もうと思います。 しかし、伊藤野枝をはじ…

与謝野晶子『人及び女として』(一九一六)中の、『青鞜』の伊藤野枝について

以下のような、与謝野晶子の文章が見つかりました。 ※ 近く『青鞜』誌上で伊藤野枝氏が慈善、矯風、軍隊慰問などの公共事業にたづさはる上中流婦人の傲慢、狭量、不徹底に就て厳正な批判を下されたのは私も同感である。 (二八八頁) ※ で、一九一六(大正五…

『青鞜』が読める!

国会図書館のデジタルコレクションで、『青鞜』が読めるようになっていました。 ありがたいことで、さっそく「伊藤野枝 戦争」で検索してみたのですが・・・・・・第一次世界大戦(当時の言葉でいう欧州戦争)の時期とかぶるにも関わらず、伊藤野枝がその戦争につ…

神近市子「村の反逆者」

一九二二年という日付があったので、もしかして伊藤野枝「火つけ彦七」(一九二一)に対抗意識を燃やして書いたのでは?と思ったのですが。 序文によると「村の反逆者」を書いたのは一九二〇年とのことですので、上記の仮説は成り立ちませんでした。

T&T用ソロアドベンチャー「水滸夢想」

本作は、「著 ケン・セントアンドレ 翻訳:安田均/グループSNE」が権利を有する『トンネルズ&トロールズ完全版』の二次創作作品です。 (C)Group SNE 「トンネルズ&トロールズ完全版」 109人目の好漢に転生し、広大な大陸を放浪する。種族(善のみ 人間…

T&T用ソロアドベンチャー「三国演武」

本作は、「著 ケン・セントアンドレ 翻訳:安田均/グループSNE」が権利を有する『トンネルズ&トロールズ完全版』の二次創作作品です。 (C)Group SNE 「トンネルズ&トロールズ完全版」 トンネルズ&トロールズ(T&T)で無理矢理三国志を遊ぶ一人用シナリ…

映画「女浪人」のその後

なにせ百年以上前の映画なので、映像媒体での閲覧は絶望的ですが、以下のような記述が見つかりました。 ※ 横田商会は(略)古くなったフィルムをつなぎ合わせて別の映画を作ったり(例ー明治四五年五月、世界館上映「西郷隆盛一代記」は従来の「西南戦争」と…

「火つけ彦七」の先行研究、けっこうありました

国会図書館のサイト、デジタルコレクションがちょっと見ない間にリニューアルされてまして、今まで読めなかった文献が大量に読めるようになりました。伊藤野枝「火つけ彦七」に言及した記事もありました。己の無知を恥じるのみです。 評価は高くないようです…

 宮崎湖処子『厭戦闘』、見つかりました!

さすがは国会図書館、デジタルコレクションがまた進化したようです。 転載には許可が必要らしいので、いつものような引用はしませんが、 明治30年4月という時代に、民衆の平和のため、戦争を廃絶しようという大意の詩です。出典は『日本現代詩大系』収録…

高柳泰三『どこかで出会う、いつかは読みたい反戦文学』(入手予定)

読んでおかねばならない本でした。木下尚江をはじめ、日露戦争前後の反戦文学がずらりともくじに並んでいます。 私が初めて見る書名もかなりありまして、気になったのは 『厭戦闘』 宮崎湖処子 という、明白に反戦を示した題名です。これは探す価値がありそ…

108も3も3で割れる

研究の合間に、『水滸伝』や『三国志演義』関係の妄想をふくらませていたら。 T&Tのソロ(一人用)シナリオ、「カザンの闘技場」や「デストラップ」のランダム分岐的な方法を利用して、6面体サイコロをふるだけで水滸伝や三国志の英雄をランダムに出して…

内藤千珠子「大逆事件と百年後の小説 ー 瀬戸内寂聴「風景」を 中心にー」(『大妻国文』二〇一一年三月)

副題通り、瀬戸内寂聴「風景」が中心なのですが、中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』(への批判)にもかなりの紙幅が割かれており、今回はそちらを中心に読むことにしました。寂聴さんは、いずれ『美は乱調にあり』を読んだ時に論じようと思うので。中…

報復でも無抵抗でもない、まったく新しい倫理へ

紀元前のハンムラビ法典や旧約聖書には、「目には目を、歯には歯を」という思想が出て来ます。「人に傷を負わせたように人は自分もそうされなければならない」いう同害報復の論理です。 紀元前ならそれでよかったかもしれません(よくなかったかもしれません…

『美は乱調にあり』も『アナーキー・イン・ザ・JP』も図書館になかった

どちらも伊藤野枝を題材にした創作であって、参考文献にはならないのですが、やる気をかきたてる燃料にはなると思ったんですよ。 『伊藤野枝集』は取り寄せたので、まずは彼女自身が書いた文章をじっくり読んでいこうと思います。

美人小説論

夏目漱石「変化」に、以下の一節があります。 ※ 貴様の読んでいる西洋の小説のなかには美人が出て来るかと中村が聞いた事がある。自分はうん出て来ると答えた。然しその小説は何の小説で、どんな美人が出て来たのか、今では一向覚えない。中村はその時から小…

夏目漱石「変化」(『永日小品』所収 新潮文庫では『文鳥・夢十夜』に収録)

研究されつくしたかに見える夏目漱石ですが、『永日小品』にはまだ手つかずの作品がいくつかあるようです。私は今のところ漱石論を書くつもりはありませんが、ふと思い出して。 「金」という、柄谷行人のNAM構想みたいな限定通貨論を打ち出した小品につい…

塩見鮮一郎編『被差別小説傑作集』(河出文庫 二〇一六)

伊藤野枝「火つけ彦七」が収録されたアンソロジー。塩見氏による作品解説にはこうあります。 ※ 「乞食は、村にはいって街道を少し行くと左側にある森の中にはいっていきました」 小説家はけっして右のような文を書かないし、全体に構成、描写とも稚拙である…

今日の更新は

お休みします。

反差別と反戦争の優先順位、ちょっとだけ入れ替えます

ほんの少し前に、私は、「差別の止め方」よりも「戦争の止め方」を優先する、と書いてしまいました。 「差別の止め方」よりも、「戦争の止め方」を優先する理由 - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com) それなのに、伊藤野枝「火つけ…

渡部直己『日本近代文学と〈差別〉』(太田出版 一九九四)

この著者名を見て、二〇一八年のセクシャルハラスメント騒動を思い起こす方も多いかも知れません。しかし、一九九四年のこの著書を読む限り、文学と差別への問題意識は先鋭で、入手した価値はあったと判断しました。 議論したい点はいくつもありますが、まず…

青空文庫の伊藤野枝をかたっぱしから読んでみたが

特に「編輯室より」と書簡は第一次世界大戦期とかぶっているので全部読みましたが、欧州戦争のせいで紙価が高くなった件以外は、非戦論も主戦論も、戦争への言及はまったくありませんでした。青空文庫の伊藤野枝を全部読んだら、次は岩波文庫の伊藤野枝集で…

今のところ

伊藤野枝が戦争についてどう考えていたか、がわかる文献を私は見つけていません。 その短い生涯の中で、日露戦争や第一次世界大戦は、かなりの期間を占めているはずなのですが。

差別し、差別される関係を超えるには

「差別されたから、差別し返す」 「火をつけられたから、火をつける」 「ミサイルを撃たれたから、ミサイルを撃つ」 それらは間違っていると私は思います。正直なところ、伊藤野枝の小説と岸田首相の反撃能力演説が奇妙にオーバーラップして、いささか気分が…

「火つけ彦七」の行動原理と、真の狂気について

人に差別されたから人を差別し、火をつけられたから自分も連続放火犯になる。 それが伊藤野枝の小説「火つけ彦七」の主人公の行動原理であり、認めがたいものですが、しかし彼は狂気ではない、と私は考えます。「共感」してはいけない行動原理ですが、彼の差…

岸田文雄首相の、反撃能力・攻撃能力増強を趣旨とする演説を聞いて

「火つけ彦七」論の主題を、 「反撃能力・攻撃能力は平和をもたらすか?」 にしようかと、真剣に考えています。いや、彦七は「もたらさない」という答えを出したからこそ、反撃能力・攻撃能力を持つという決断をしたわけですが。 岸田首相はどうも違う答えを…

村山由佳『風よあらしよ』(集英社 二〇二〇)

図書館で、「伝記」ではなく、「小説」の棚に置いてあった近年の著書。伊藤野枝の生涯を扱っていますが、こちらにも残念ながら、伊藤野枝の小説「火つけ彦七」への言及はありませんでした。 日陰の茶屋事件などどうでもいい、とまでは言いませんが、私として…

円地文子監修『人物日本の女性史11 自由と権利を求めて』(集英社 一九七八)より 近藤富枝「伊藤野枝」

こちらは栗原著よりも抑えた筆致で、伊藤野枝の生涯を描き出しています。残念ながら、小説「火つけ彦七」への言及はありませんでした。 野枝には、 「そのときどきの愛人の思想を理解し、共鳴し、それに同化することによって自分を育てていったにすぎず、独…

栗原康『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』(岩波書店 二〇一六)

私は伊藤野枝自身の生き方にはどうも共鳴できないのですが、アナキズム研究を専門とする栗原氏は違いました。勢いのある文体で、伊藤野枝への全面的な共感のもとに綴られた伝記です。 題名は野枝の小説「火つけ彦七」と「白痴の母」からとられています。第5…

中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』(新潮社 二〇一〇 未読)

大杉栄や伊藤野枝の魂が二〇一〇年の現代人やアイドルに宿るという物語。現代小説とはいってももう一二年も前ですが、気になっていながら今まで未読でした。 そもそも内藤千珠子氏の学会発表でこの作品を知ったのですが、同氏は発表および論文「大逆事件と百…

伊藤野枝、ドラマ化してたんだ

伊藤野枝を扱ったドラマ『風よあらしよ』が、今年九月に放映していたようです。 とりあえず図書館で、村山由佳氏の原作小説を借りてはきましたが。 後は栗原康氏による伝記『村に火をつけ、白痴になれ』も読むつもりです。 伊藤野枝論、誰かとかぶる可能性も…