核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

亜麻布の長い切れを

同じ物体でも、「亜麻布20エレ」だとごわごわ、「リンネル20エレ」だとすべすべな印象を受けるのは私だけでしょうか。 ……ともあれ、「なつやすみのしゅくだい」は、今年は8月31日で終わりました

ひとまず完成。

最後の一行(「千円支払いますから」)までどうにか読み込めました。 が、どこに出すかが問題です。どこかの雑誌で「今、マルクスを問い直す!」とかいう特集が組まれるのを気長に待ちつつ、メモリースティックの片隅におさめておくことにします。

吉野作造の「小さな王国」評の最後の一行

これは私の新発見ではなく、生方智子氏の「谷﨑潤一郎『小さな王国』における共同体と権力」(『文芸研究 : 明治大学文学部紀要 』 二〇一五)にすでに引用されていることをお断りします。 発表直後の谷崎潤一郎「小さな王国」に、吉野作造がふれた一節。 ※ …

坂野潤治『明治デモクラシー』(岩波新書 二〇〇五)

明治と大正、政治と経済をいったりきたりの日々です。今回は明治の政治で。 矢野龍渓関係を重点的に探し読みしたら、一か所見つかりました。かっこ内は原文通り。 ※ 福沢の高弟で太政官権大書記官(現在の内閣官房副長官あたりか)の矢野文雄が起草した、大…

メンガーの「商品の販売可能度」という概念

メンガーの貨幣論で最重要なのは、「商品の販売可能度」とその差異の発見でした。「ポテトチップスは100円で買えますが、ポテトチップスで100円は買えません」という、あの機微ですね。 ※ こうした「財の販売可能度」あるいは「商品間に存在する販売可…

マルクスの反動性

前回に引き続き、古川顕「貨幣の起源と物々交換(1)―ロー、マルクス、メンガー―」(『経済論叢』2016・7)を引用します。 「貨幣は記号である」とモンテスキューは主張していたわけですが、マルクスはそれを誤謬とし、金属貨幣説に固執しました。 ※ …

ジョン・ローの発見

ジョン・ロックは銀こそ普遍的貨幣と考えていたようですが、もう一人のジョンは違いました。 ※ ところで、ローが「貨幣経済学のまったく新しい眺望を切り開いた」というマーフィーの指摘は、一体何を意味するのだろうか。その意味するところは、貨幣は金や銀…

「二人のカール」、使われてました。

以前、「小さな王国」論の副題を「二人のカール・M」にしようかとか書きましたが、一年遅かったようです。 ※ ジョン・ローとジョン・ロックという”2人のジョン”の間に大きな考え方の相違あるいは対立する正反対の見解が存在するように、カール・マルクスと…

輦は輩でした。

春陽堂版『経国美談』後篇に「安太隆輦」という謎の文字があった問題ですが、国会図書館蔵の初版本を見たところ、 「安太留輩」 だと判明しました。厳密にいうとこの安太留も「安太隆」(作中人物アンタルキダス)の誤りなのですが、これ以上の詮索はなしと…

ブルボン王朝の沼倉?ジョン・ロー

ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ロー)より。 ※ ジョン・ロー(仏: John Law de Lauriston, 1671年4月21日 - 1729年5月21日)は、スコットランド出身の経済思想家、実業家、財政家である。真手形主義[1] や稀少価値論 [2]を提唱した…

古河顕「貨幣の起源と物々交換」((1)、(2))

谷崎潤一郎「小さな王国」論に使えそうな論文。以前に入手しそびれたので次回こそは。 ※ 貨幣の起源と物々交換(2)ロー,マルクス,メンガー 古川 顕 経済論叢 = The economic review 191(3), 1-16, 2017-08 貨幣の起源と物々交換(1)ロー,マルクス,メンガー 古…

村井弦斎あて矢野龍渓書簡

※ 安田晃子 , やすだあきこ , Z95W:お:051:001 , 大分県立先哲史料館研究紀要 , 7 , 2002 , ※ 書簡の年代は不明ですが、チェックしてみる価値はありそうです。 (2018・8・27追記 国会図書館にはありませんでした。他をあたってみます)

『経国美談』後篇の創作人物、ヘージアス

「第二回 阿善国都に暴民紀綱を紊る 公会堂上に阿慈頓節に死す」より。 阿善(アゼン)とはアテネのことです。 ※ 茲に阿善の南部瑣良美の島に生じたる一人物あり其名を平邪(ヘージアス)と云ふ (略。強い意志と民衆を圧倒する能力を持ってはいたが) 惜い…

アンタルキダスのモデルは宋の向戌?

『経国美談』という小説は、各回ごとに栗本鋤雲、依田学海、藤田鳴鶴らによる漢文の評がついていまして。評といっても批評というよりはあらすじと感想ですが。 で、後篇の第十三回、「(略)兵戈に苦て諸国大平和の議を容る」の学海の評にこうあります。 ※ …

大澤信亮「小林秀雄」(『新潮』)

第一部完。第二部は二〇一九年以降になるそうです。

矢野龍渓「不必要」再論―軍備による平和論の陥穽

交通と情報流通の進歩が世界平和をもたらすと、小説「不必要」(一九〇七(明治四〇))の主人公は楽観的な平和論を語ります。 ※ 此れ程ど交通が日々に発達すれア、各国の人民同志が懇意にならずにア居られない。 (略。各国の議員、労働者、新聞記者、商業…

『経国美談』後編を読み返してみる。

同小説にアンタルキダスという平和主義の創作人物が挿入されていることは、当ブログの2回目および博士論文序章で語ってきましたが、もう一人、急進民主主義のオリキャラがいまして。 自由党の過激性を立憲改進党の立場から批判的に描いたものだとか、実在の…

民主主義を守ることのむずかしさ。

ここ数日、痛感しています。

田畑忍「福地桜痴と主権論争」(『 同志社法学』1949年6月)

明治一五年前後の新聞各紙より、主権論争の概観をまとめた論説。 ※ 福地の主権在君説に対して猛烈に反対論が湧き起つた。卻ち先づ「束京横浜毎日新聞」を牙城とする肥塚龍・沼間守一・島田三郎等の論客は、立憲政に於ける主権は君主を含む国会にありと唱へて…

書庫「ジャーナリズムとデモクラシー」追加。

今回は文学から少し離れて、歴史よりの内容になりそうです。

主権論争。

1881(明治14)年頃、当時の名だたる大新聞(おおしんぶん)を巻き込んだ大論争。 福地桜痴率いる東京日日新聞の天皇主権説に対し、議会主権やそれ以外主権を説く他紙が猛反発。 ……らしいのですが、一次史料はまだ見ていないもので、後ほど。 ジャーナ…

横光利一「静かなる羅列」(「文芸春秋」1925(大正14)年7月号)

そういや横光利一で、シムシティかシヴィライゼーションみたいな小説があったよな。 そう思って検索してみたら、青空文庫で読めました。 二つの川の地質学的な起源から始まり、そこに住み着いた人間たちの営みが、天上から見下ろすようなマクロな視点で描か…

福地桜痴『同行二人 外国巡礼』(『東京日日新聞』1889(明治22)・1・3~3・15(中絶))

全集・単行本類未収録の、読めるのは東京日日新聞だけな小説。 読む前は期待しました。あの岩倉使節団も含めて四度の洋行を体験した福地の『外国巡礼』。 さぞかし西洋と日本のカルチャーギャップや、さらには西洋文明批判にあふれたものと想像していたので…

デモクラシーが産まれる瞬間。

「デモクラシーが伝来する瞬間」でも十分なのですが、できれば無政府状態ないし圧制状態から「デモクラシーが産まれる瞬間」を描いた文学作品を探したいものです。

「文明社会の快楽」(『東京日日新聞』一八八三年一二月六日)

題名にひかれて複写したものの、「吾曹」名義でなかったために使えなかった社説。 未開人の性質は情欲が主であり、その快楽は情欲を満足させることにある。一方、文明人にとっての快楽はそうではなく、数千百年の後を遠望するものである…… といったことを、…

「村上レディオ」聴いてみた。

実は私にとって東京FMはなじみ深いラジオ局でして。6時からの「平原綾香のヒーリングビーナス」もよく聴いていました。 で、7時からの「村上レディオ」。あの村上春樹氏がラジオ界に登場。 お歳のわりにといって失礼にあたるような、張りのある、しっか…

エスト・ガザ

プレイステーション用ソフト『ファイナルファンタジー9」で流れる音楽。 かなり昔のゲームな上ですが、この曲だけは別です。「影の近代化言説」執筆のBGMに使わせてもらいました。 (2020・1・3追記 文字化けしていたので直しました)

吾曹を探せ

『近代文学研究叢書8』の書誌情報には、一人称が「吾曹」じゃない(≒福地じゃない?)社説がけっこう紛れていまして。 最初はマイクロリールの映像で判断しようとしたのですが、なにぶん眼が疲れて。とりあえずリストにあるやつを全部コピーしてもらって、…

ジャーナリズムとデモクラシーか。

大正期とか昭和戦後期が狙われそうなので、ここはあえてはずして、デモクラシーがありそうもない時代を攻めてみたいと思います。 今念頭に置いている作品は、『浅草紅団』と『浮城物語』。そして福地の『選挙競争 嘘八百』あたりを読み返してみようかと思い…

「社会文学」49号・原稿募集

今の勢いが落ちないうちに、ばりばり書こうと思います。 そんなわけで日本社会文学会様のサイトより転載。 ※ 社会文学」49号 特集:ジャーナリズムとデモクラシー 『社会文学』49号の特集は、明治大学での春季大会を反映させた「ジャーナリズムとデモクラ…