核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

谷崎潤一郎「小さな王国」

書き直し。

この前に書いた「小さな王国」論は安富歩氏の貨幣論に大幅に依拠していたわけですが、その安富氏の最近の活躍ぶりを観るにつけ、当方もやる気がわいてきまして。 結論部を中心に書き直して再投稿してみようかと思います。 2019・8・7追記 別な論文に着…

「小さな王国」論、不採用でした。

残念です。明日からはまた文学と反戦のブログに戻ります。

大幅増量

安富歩『貨幣の複雑性』を引用して、沼倉紙幣が貨幣になる瞬間、および貝島が内藤洋酒店につかつか入った理由あたりを書き足しました。 これでもまだ貝島サイドの分析に片寄ってる感がありますが、メンガー経済学で「小さな王国」を読むという目論見は一応達…

マイルドに。

「将軍」論は年内に完成しそうもないので、「小さな王国」論をマイルドにしたやつを投稿しようと思います。 教育論や教室論には触れずに、経済学的に観た「小さな王国」に絞って。それも共産主義的小組織とか資本主義的欲望といった大きな話ではなく、人類が…

亜麻布の長い切れを

同じ物体でも、「亜麻布20エレ」だとごわごわ、「リンネル20エレ」だとすべすべな印象を受けるのは私だけでしょうか。 ……ともあれ、「なつやすみのしゅくだい」は、今年は8月31日で終わりました

ひとまず完成。

最後の一行(「千円支払いますから」)までどうにか読み込めました。 が、どこに出すかが問題です。どこかの雑誌で「今、マルクスを問い直す!」とかいう特集が組まれるのを気長に待ちつつ、メモリースティックの片隅におさめておくことにします。

吉野作造の「小さな王国」評の最後の一行

これは私の新発見ではなく、生方智子氏の「谷﨑潤一郎『小さな王国』における共同体と権力」(『文芸研究 : 明治大学文学部紀要 』 二〇一五)にすでに引用されていることをお断りします。 発表直後の谷崎潤一郎「小さな王国」に、吉野作造がふれた一節。 ※ …

メンガーの「商品の販売可能度」という概念

メンガーの貨幣論で最重要なのは、「商品の販売可能度」とその差異の発見でした。「ポテトチップスは100円で買えますが、ポテトチップスで100円は買えません」という、あの機微ですね。 ※ こうした「財の販売可能度」あるいは「商品間に存在する販売可…

マルクスの反動性

前回に引き続き、古川顕「貨幣の起源と物々交換(1)―ロー、マルクス、メンガー―」(『経済論叢』2016・7)を引用します。 「貨幣は記号である」とモンテスキューは主張していたわけですが、マルクスはそれを誤謬とし、金属貨幣説に固執しました。 ※ …

ジョン・ローの発見

ジョン・ロックは銀こそ普遍的貨幣と考えていたようですが、もう一人のジョンは違いました。 ※ ところで、ローが「貨幣経済学のまったく新しい眺望を切り開いた」というマーフィーの指摘は、一体何を意味するのだろうか。その意味するところは、貨幣は金や銀…

「二人のカール」、使われてました。

以前、「小さな王国」論の副題を「二人のカール・M」にしようかとか書きましたが、一年遅かったようです。 ※ ジョン・ローとジョン・ロックという”2人のジョン”の間に大きな考え方の相違あるいは対立する正反対の見解が存在するように、カール・マルクスと…

ブルボン王朝の沼倉?ジョン・ロー

ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ロー)より。 ※ ジョン・ロー(仏: John Law de Lauriston, 1671年4月21日 - 1729年5月21日)は、スコットランド出身の経済思想家、実業家、財政家である。真手形主義[1] や稀少価値論 [2]を提唱した…

古河顕「貨幣の起源と物々交換」((1)、(2))

谷崎潤一郎「小さな王国」論に使えそうな論文。以前に入手しそびれたので次回こそは。 ※ 貨幣の起源と物々交換(2)ロー,マルクス,メンガー 古川 顕 経済論叢 = The economic review 191(3), 1-16, 2017-08 貨幣の起源と物々交換(1)ロー,マルクス,メンガー 古…

「小さな王国」論、一月中に完成せず

誰に迷惑がかかるというものでもありませんが、自分で決めた締め切りを守れませんでした。 こうなったら焦らず、次の論文と並行して、ぼちぼちとやっていこうと思います。

二人のカール・M

副題にはしないけど、そんな感じで。 (2018・8・24追記 すでに使われていました)

ぐるりと回って

交換論→紙幣論→貨幣論と二転三転したあげく、結局交換論に落ち着きそうです。

やや後退。

最後の一行の解釈に自信がなくなりまして。また練り直します。

「小さな王国」論、やや捗る

完成図が見えて来た、という感じです。

向坂逸郎『資本論入門』(岩波新書 1967) その5

忙しくなる前に、「小さな王国」論に必要と思われる部分を引用しておきます。 ※ A商品x量=B商品y量 という方程式は、A商品x量は、B商品y量に等しい、ということを示している。いいかえると、A商品x量は、B商品y量に値するという関係を示してい…

1917年補助貨の払底

1円=100銭なのに、1円紙幣=小銭100銭ではない不条理。 ※ 補助貨の払底はいよいよ激しく、もう一円紙幣で二十銭以下の買物は到底出来ず、両替屋へ行けば目玉の飛び出るような両替料を取られるという有様 (『中外商業』1917(大正6)年11月…

安富歩『貨幣の複雑性』創文社 2000

「ポテトチップスで100円は買えません」を理論武装できそうな書が見つかりました。 ※ マルクスの価値形態論は「単純な、個別的な、または偶然的な価値形態」から始まる。それは次のように簡単に表現される。 x量の商品A=y量の商品B、 または、 20…

『幼少時代』(1956)より「小さな王国」 その2

谷崎潤一郎の小学生時代、リアル「小さな王国」にての紙幣。 ※ 私たちは活字や印肉を持ち寄つて偕楽園の「源ちやん」の部屋に集り、金額に応じて大小種々の紙きれを作つて毎日紙幣を印刷した。(略)が、「公園の原つぱの上や、郊外の叢の中」へ「多勢寄り集…

『幼少時代』(1956)より「小さな王国」 その1

※ 「のつさん」の本名は篠田源太郎と云ひ、「のつさん」の称はその「篠田さん」から来てゐるのであるが、私たちは皆彼のことを、一種の畏怖と敬愛の念を以て「のつさん(踊り字)」と呼んでゐた。 (略)後に私は此の少年をモデルにして「小さな王国」と云ふ…

『谷崎潤一郎全集 第六巻』(中央公論社 1958)の伊藤整による解説 その2

※ 個人の自由を原則として成立した資本主義制度は、その確立とともに、組織化された経済力として人間を支配し、その考へ方を人工的に変化させ、人間を組織の奴隷とする危険が起つてゐたのである。そしてこの危険は、もつと新しい統制経済を行ふ共産主義社会…

……ポテトチップスで100円は買えません。

1977(昭和52)年のCM。実は私は当時見たわけではなく、ドラえもんの「ドラやきで100円は買えません」とかいうセリフで知りました。 社名と直接リンク先は伏せますが、検索すれば出てくるはずです。 このあたりの機微が、今回の論文のキモになり…

小谷野敦・細江光編『谷崎潤一郎対談集―文藝篇』中央公論新社 2015  その3

「春宵対談」谷崎潤一郎、和辻哲郎、後藤末雄(司会)。 『塔』1949年(昭和24)5月。 ※ 後藤 バルザックみたいに社会組織の弊害とか社会悪というものを書いてみたいが、谷崎君は書く意志はない? 谷崎 僕はそういう意志はない。 (194ページ) ※ …

『谷崎潤一郎全集 第六巻』(中央公論社 1958)の伊藤整による解説 その1

吉野作造の「小さな王国」論を、「今や社会主義とか共産主義といふ事は、理論ではない、一個の厳然たる事実である。」まで引用した後に。 ※ この前年の大正六年十月に、ロシアの十月革命が成立してゐたのである。 簡単に言へば、この作品は少年の世界に形を…

1918年のコンデンスミルクの値段

※ 大正7年(1918)5月、静岡県田方郡錦田村に錦田工場を建設し、原料用練乳および牛酪を製造していたが、つづいて練乳小缶森永ミルク(390グラム入り1缶50銭)を一般市場用として発売した。 (『森永乳業五十年史』森永乳業株式会社 1967 2…

最後に出てくるミルク

「一滴」という表記があること、「牛乳」という語は別の場所で使われていることから、粉ミルクでも牛乳でもなくコンデンスミルクに限定して調査してみます。ミルクだけにしぼって。

谷崎潤一郎『文章読本』(1934)

『中央公論』『改造』に載る経済学者の論文への批判。 ※ 私はよく、中央公論や改造等の一流雑誌に経済学者の論文などが載つてゐるのを見かけますが、あゝ云ふものを読んで理解する読者が何人ゐるであらうかと、いつも疑問に打たれます。それもその筈、彼等の…