前回に引き続き、古川顕「貨幣の起源と物々交換(1)―ロー、マルクス、メンガー―」(『経済論叢』2016・7)を引用します。
「貨幣は記号である」とモンテスキューは主張していたわけですが、マルクスはそれを誤謬とし、金属貨幣説に固執しました。
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貨幣の歴史は無体化の歴史、つまり貨幣がその素材価値を失っていく歴史であることを考えれば、マルクスの批判が妥当するのか否か、あるいは名目主義に立つモンテスキューと、金属主義を信奉し、”Money is not a symbol"(Marx〔1970]P.49,Marx〔1952]P.41)と主張するマルクスのどちらに軍配が上がるかは明白であるように思われる。
この点は、マルクスのいう世界貨幣についてもあてはまる。
(略。貴金属地金が世界貨幣となるというマルクスの主張)
だが、この主張が妥当しなくなってすでに久しい。さすがのマルクスさえ貨幣の将来を見渡せなかったのである。
(同論文52ページ)
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……私としては、「さすがのマルクスさえ」ではなく、「例によってマルクスは」だと思います。